9月24日、敵地仙台で3連敗した肌寒い夜でも、ロッテには“ぬくもり”があった。試合後、肩を落とすレオネス・マーティン外野手(32)の背中を、沢村拓一投手(32)がたたいた。

その日、マーティンは3打席連続で空振り三振。励ましていたのだろうか。1カ月近くたち、印象的なシーンの真意を、沢村に聞く機会に恵まれた。

「励ましじゃないです、あれは」。意外な返答の後、続けた。「体、大丈夫? って。すごくよく当てられているので」。

最終打席で左つま先に死球を受けていた。その2日前には頭部付近、5日前には右ひざ付近。5試合で3度の死球だった。「彼が打線の軸というのはみんなが分かることですし、けがをされたら困るので」。沢村の言葉で、マーティンは笑みを浮かべていた。

9年以上プレーした巨人から移籍し、わずか16日後の出来事だ。8回の男として披露する剛速球だけでなく、さりげない目配り気配りが新天地でも光る。「受け入れてくださって、声をかけてくださって」。溶け込めたことへ感謝する。「チームスポーツなので。受け取ったバトンを(抑えの)益田につなぐ役割に集中して」。残り18試合、ロッテ沢村が逆転優勝へ腕を振る。【金子真仁】

ロッテ・マーティン(2020年9月29日撮影)
ロッテ・マーティン(2020年9月29日撮影)