今年にかける思いを感じさせる盗塁だった。大卒4年目の島田海吏外野手(25)が代走で出場し、初球から快足を披露。今季初出場となった2日広島戦(甲子園)でけん制直後の初球に盗塁を決めた場面だ。役割を理解し、期待に応えた。

阪神対広島 8回裏阪神1死一、三塁、一塁走者代走島田は打者佐藤輝のとき二塁盗塁を決める(2021年5月2日撮影)
阪神対広島 8回裏阪神1死一、三塁、一塁走者代走島田は打者佐藤輝のとき二塁盗塁を決める(2021年5月2日撮影)

17年ドラフト4位で上武大から入団。今季は2軍安芸キャンプから1軍を目指したが、右足かかとを痛め離脱。「約1カ月弱、後れを取ってしまったので、本当に取り返す気持ち。とにかく結果に貪欲になって一瞬も気を抜ける瞬間はないと思うので、周りの選手よりも結果を出すという気持ちを強く持ってやりたい」。そう語るまなざしに覚悟がにじんでいた。

3月24日の練習試合で実戦復帰。ウエスタン・リーグでは18試合に出場するも、打率は2割2分2厘。試合後には居残りで打撃練習をする姿も見られ、巻き返しに必死だった。4月25日の練習試合・カナフレックス戦(鳴尾浜)では3安打。試合を重ねるにつれて確実に捉える打席が増えてきた。「そこまで大きく(調子の)波がなくなってきた。何としても1日1本出すという執念を持ちながら継続することが大事」と気を引き締める。

昨年は持ち味の足を生かしてプロ初を含む3盗塁。今年は4月30日に同じ外野手の小野寺と入れ替わり、今季初昇格を果たした。現在1軍では、開幕時に足のスペシャリストとして呼ばれていた植田と江越が故障で不在。空いた枠で持ち味を見せる絶好のチャンスが訪れた。

「1軍で結果を残すために走攻守でアピールできるように準備してきました。足が一番の持ち味だと思っているので、走塁では相手をかき回せるように、守備では確実にアウトを取れるように、そういった姿を見せて信頼を勝ち取れるように頑張っていきたい」。昇格時に話したように、1軍定着へアピールが欠かせない。【阪神担当 林亮佑】

島田海吏
島田海吏