じっと、そのときを待つ。我慢のリハビリ生活を送るオリックス近藤大亮投手(30)が、首位を走るナインに羨望(せんぼう)のまなざしを送る。
言葉を選んで、ゆっくりと本心を吐き出した。「今、チームの調子がすごく良いじゃないですか? そこに自分が加われていないのが悔しくて…。もちろん、うれしいですよ。ただ、心のどこかで、もどかしい感情もありますね」。焦る気持ちを懸命に抑える、悶々(もんもん)とする日々だ。
ブルペンに欠かせない鉄腕リリーバー。近藤は15年ドラフト2位でオリックスに入団。17~19年には3年連続50試合以上に登板するなど、大車輪の活躍を見せた。
気迫ある投球が武器で、毎日ブルペン待機した。だが、昨年2月の宮崎春季キャンプから、右肘の状態が思わしくなかった。ファームではマウンドに立ったが「思ったようにボールが投げられなかった」と昨年9月10日に右肘内側側副靱帯(じんたい)再建術(トミー・ジョン手術)に踏み切った。昨オフには治療に専念するため、育成選手契約となった。
真夏の大阪・舞洲。気温30度を超え、太陽が照りつける中、ランニングを終えた近藤は汗だく姿でサングラスを外して言う。「人生で一番しんどい時期ですね。でも、そんなことを思っても何も変わらない。今できることをやるしかない。急いだらアカンと思うんで」。堺市出身。浪速-大商大-パナソニック-オリックスと“大阪一色”の男は「自分の立場、ポジションが少しずつなくなっているのが、目に見える」と危機も感じている。
「過去の自分には戻りたくない。絶対、レベルアップしないといけない立場なんで。何が足りないか…。そんなことを考える期間になっていますね」
ボールが投げられないリハビリ期間で鍛えた体は、一回り大きくなった。現在は捕手を立たせてのブルペン投球ができるまでに回復を見せており「状態は60~70%ぐらいですね。投げると痛いですよ。まだ、肘もなじんでなくて…。出力が増えて、肘が痛むたびに不安も感じる。日々、きついですね」と表情をゆがめる。実戦復帰時期については「(10月の)フェニックスリーグで投げられたらいいなという感じです」と目標を定めている。
「今は目指すべき未来像が見えている。そこを目指して地道にやっていくだけ。最終的には抑えがやりたい。絶対的な存在を目指して、マウンドに立つまでに何ができるか考えてます」
掲げる夢は、同学年のラオウこと杉本裕太郎(30)との“お立ち台共演”だ。「まだ僕、ヒーローインタビューを受けたことないんで…。一緒にお立ち台に上がれたらなと思って、希望を見いだしてます」と真剣な表情で話す。少し間を取って「でも…、一緒に、昇天ポーズは絶対にしませんけどね(笑い)」と照れた。
杉本が本塁打後に披露する「昇天ポーズ」は近藤の発案だった。「せっかく、『ラオウ』ってニックネームがあるんやから。日本の主砲になるんやから、ファンが喜ぶポーズを作れよ」。プロ2年目のある日、食事中の会話から生まれたポーズだった。最近では「実際に見てみたら、カメラ目線で(笑い)。昇天ポーズするならオリックス側のスタンドを見てほしい」と要望。実際に後半戦開幕の13日ロッテ戦(ZOZOマリン)の初回に19号先制2ランを放った際は、テレビカメラでなく、スタンドに目線をやるなど“軌道修正”されていた。
「僕も、あの場におりたいなぁ…」
戦友の活躍に、偽らざる本音を漏らした。
リハビリ生活は我慢の連続で「支えてくれるのは家族」と愛妻、2歳の長男、0歳の長女のためにも「完全復活」を誓う。「今までの選択に後悔はないです。恩返しがしたい」。その瞬間を、思う。【オリックス担当=真柴健】




