ここに来てイチロー(マーリンズ)が再び、クローズアップされています。再びと書きましたが、実際は何度目の注目かは分かりませんね。日米通算4200安打も目の前になってきた。

 しかし「4200」ということはですよ、単純に考えて200安打を21年。200安打なんて結構なレベルの選手でも生涯で1度もできないのが普通なのに、今更ながら途方もない数字であります。

 おまけに、日米通算とはいえ、あのタイ・カッブの安打数を抜いて、上にはピート・ローズしか存在しなくなったという。出てくる名前が歴史上の人物というか、何というかすごいものばかり。90年代半ばのオリックス所属時代、毎日のように話をしたあの人物とはいえ、現実の存在なのかと思わずにいられません。

 なによりもすごいのはいまだにスピードが衰えないことでしょう。現地時間20日の試合でも三塁打を放っていますね。この10月で42歳になるイチロー、「24時間すべてを野球に使っている」という言葉にウソはないのだと思います。

 さて好守、好打、俊足とすべてそろったイチローを取材していた約20年前のことです。ふとあることに気がつきました。それはスライディングです。

 本格的な野球経験のない私。それも小学生のときに草野球をやったことがあるぐらいなのですが、それでもスライディングぐらいはやりました。見よう見まねで。そのとき自分が左側の足やおしりを下にするようにしか滑り込めないことに気がつきました。

 それからプロ野球などを見るときに注意していると、両サイドで滑る選手も少なくありません。さすがというか、プロならだれでも両方できるんだろうなと思ったものです。

 しかしイチローを見ていると、いつも左側が下になっているような気がする。96年ごろ、ちょっと気になって聞いたことがあります。答えはこういうものだったと記憶します。

 「みんな両方、できるんですか? そういうものですか? ボクはあっちでしかできませんけど」

 あのイチローが、そういうことを言うので、正直、驚きました。こと野球に関することなら何でもできると思っていたのですが、そんなこともあるんかいなと。

 もっとも、常に進化している男だけに今では普通にやってのけるのかもしれませんが…。

 20年が過ぎても輝き続けるイチローがうれしくて、昔話を書いてみました。