<フェニックスリーグ:ソフトバンク3-1巨人>◇18日◇アイビースタジアム

田村藤夫氏(62)のフェニックスリーグ取材最終日はソフトバンク戦になった。大卒3年目の海野隆司捕手(25=東海大)のディフェンス面をじっくり見た。

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ソフトバンクの正捕手には甲斐がいるが、「ポスト甲斐」というチームの課題はある。甲斐の力が抜きんでているだけに、若手を公式戦の中で育てるにも限度がある。制約がある中、それでも見極めていかないと捕手は育たない。

ポスト甲斐の候補の1人に海野がいる。この試合の中で、ディフェンス面にどんな長所、課題があるか、注目した。巨人1点リードの5回表。先頭打者がヒット。バントで送り、1死二塁。打席には左打者。右腕田之上のスライダーがワンバウンドして打者の足元へ飛んだ。

捕手からすれば、ブロッキングの力量が試される場面。海野は止めきれず、暴投となって1死三塁とピンチが広がった。海野は内角を要求していた。そこへワンバウンドとなり、確かに止めるのは簡単なボールではなかった。だが、甲斐ならば確実に止めていたと感じた。

海野は右腕を体から離して止めに行ったが、その脇を抜けた。たまたま脇を抜けたと言えるかもしれないが、捕手をしていれば、脇が空いたところを抜けるプレーは悔いが残る。甲斐ならば、脇は空かなかっただろう。

甲斐ならば確実に止めたと言えるのは、基本プレーとして脇を締めることを徹底して練習し、こうした時の動きが体に染み付いているからだ。脇を締め、右の手のひらを投手方向へ向けて体ごと右へ動く。この時、ワンバウンドした変化球が右腕に当たることがよくある。私も現役の時、右肘の上や、下によく当てた。

プロテクターをつけていない箇所に当たると骨折すると思われがちだが、そんなことはない。たまに捕手が右手にファウルチップを受けて指を骨折したというニュースを聞く。確かにファウルだとスピードも出ており、生身の体に当たると危険だ。それが指、手首などに当たれば骨折に至るケースもある。

しかし、ピッチャーのワンバウンドしたボールならば、基本を踏まえていればそうそう骨折ということにはならない。先述したように、脇を締め、右の手のひらを投手方向へ向けていれば、たとえボールが当たっても骨折する可能性は低い。そして、特に右投手の右打者外角への変化球がワンバウンドした時は、腕に当てるくらいの気持ちでいかないと、後ろへ抜けてしまう。

私の経験上、ボールが腕に当たっても、筋肉に当たるから骨折になることはなかった。確かに、恐怖心はあるだろうが、そこを恐れていてはプロの変化球を止めきることはできない。海野が怖がっていたという意味ではなく、自分の体の右側に来たワンバウンドへのブロッキングには、守るべき基礎があるということだ。

この試合では、脇を抜けてしまった。甲斐ならば確実に止めていた。そこにレギュラーと控えの差がある。そこを埋めていくしかない。打てる捕手が理想だが、捕手はまずディフェンス面の中身を問われる。海野はよくプレーを確認して、自分のブロッキングのフォームを見て、今後に生かしてもらいたい。(日刊スポーツ評論家)