今年も甲子園大会を現地で取材する機会に恵まれた。年々暑さが厳しくなり、灼熱(しゃくねつ)のグラウンドで必死に白球を追う球児を見守ることができる。球児は大変だと思うが、地方大会を勝ち抜いたからこその経験。存分に戦ってほしい。
その中で、大会3日目の第2試合、西日本短大付-金足農では、何か新しい発見はないかとじっくり見させてもらい、両チームの二塁手、金足農・那須慎之介(3年)、西日本短大付・荒木悠吾(3年)の守備位置から多くを感じることができた。
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2人に共通するのは、どちらも土と芝生の切れ目まで深く守る特徴的な守備位置だった。
最初、金足農の那須の守備位置が目に飛び込み、驚いた。反射的に広島の菊池を思い起こした。菊池もそうだが、あそこまで深く守るということは、よほど肩に自信があるのだろう。
そんなことを考えながら西日本短大付のセカンドに目をやると、荒木も同様に芝生の切れ目にいる。偶然とは言え、これだけ深い守備位置の両セカンド同士の試合を見られる。またとないチャンス、しっかり注目させてもらった。
まず、後ろに下がって守る分、定位置よりも、守備範囲は相当広くなる。メリットは多いが、同時に二塁ベースよりの打球に追いついてから、ジャンピングスローするか、素早く踏ん張って一塁に投げなければならない。
また、一塁よりの打球には、捕球してから回転して送球するか、半身になって投げるなど、技術的に難しいものがある。どちらにしても、打球判断と身体能力という高度なものが求められ、この大舞台でどこまでのプレーにトライするのか、そこが楽しみだった。
5回裏、西日本短大付の荒木の二飛は、定位置ならばセンター前に落ちるポテンヒット。それを、那須は判断よく追って、ある程度余裕をもって捕球した。確かに後ろに下がっているメリットを生かしている。ただ、当たり損ないの打球への反応はどうなのかと気になった。
すると、6回裏1死から、左打者古賀のボテボテの二ゴロに対し、今度は猛然と前に出てさばいた。その動きを見れば、前のボテボテの打球への対応も十分にできることが分かる。
場面は変わり、8回表2死での西日本短大付の守備。那須の右前へのライナーに、荒木は果敢に飛び込んだ。捕れなかったが、スタンドで見ていた限りではあと数十センチというきわどいプレー。おそらく、定位置のセカンドならば、飛び込むところまでいかない打球。いかに、荒木の守備範囲が広いかを印象づけるプレーだった。
高校野球はどんどん進化している。外野の守備位置は右打者、左打者で大きく動き、ヒット性の打球をギリギリでつかもうという工夫がうかがえる。春のセンバツでは低反発バットの導入で外野手を越える打球が激減していたが、もうこの夏はある程度深く守る外野手を越える打球が飛んでいる。そして、そこに対して大胆なシフトで守るという対決は見応えがある。
私が甲子園取材をするようになって、降雨コールドから継続試合導入へと変遷し、タイブレークも始まった。金属バットも低反発素材となり、酷暑対策としてクーリングタイムが設けられ、今夏からは試験的に2部制となった。
ルールや環境面を改善する動きと相まって、この試合の二塁手の守備位置のように新しいチャレンジは見ていてすがすがしい。中前に抜けようという打球をどう処理するか、そこは今後の楽しみとして取っておきたい。
最後に、試合終盤の二遊間の守備位置について、感じたことを付け加えたい。金足農の守備では8回裏の2死二塁、西日本短大付の守備では、7回表2死一塁で、いずれも二塁手はほぼ前進守備に近いほど前に出ていた。
両ケースともに走者がいるために前目の守備位置になったと思うが、一塁走者がいる場合は二塁封殺に備えてと思うが、2死二塁でもかなり前で守っていたことが気になった。二遊間がセンターラインを絞っているため、ヒットゾーンは三遊間、一、二塁間ともに広く、ヒットを打たれる確率が高まると感じる。
芝生の切れ目から、前進守備となると、およそ10メートル近く前に出ることになる。これはかなり感覚が変わるため、その違いに適応する難しさもある。
何か大きく変えると、必ず課題も見えてくるものだ。両チームのセカンドが挑んだ深い守備位置は、いずれ高校野球でも見慣れる日が来るかも知れない。最後、西日本短大付の荒木が飛球を収めて、金足農の猛攻は終わった。そんなことを考えながら、日々進化する高校野球の大舞台を実感した。(日刊スポーツ評論家)(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「田村藤夫のファームリポート」)





