夏甲子園大会で準優勝に終わり、涙するエース福岡(右)をなぐさめる樟南・田村(94年8月撮影)
夏甲子園大会で準優勝に終わり、涙するエース福岡(右)をなぐさめる樟南・田村(94年8月撮影)

甲子園のレジェンド右腕が第2の人生を全力投球中だ! 1994年(平6)夏甲子園、初の九州対決となった佐賀商との決勝戦に敗れ準V投手となった樟南(鹿児島)エースだった福岡真一郎さん(42)が、高校野球の強豪校、筑陽学園(福岡)のトレーナーとして、主力の長男、大真(たいしん)外野手(2年)とともに「甲子園出場」の夢を追っている。

10月2日に行われた来春センバツ選考の資料となる秋季九州高校野球福岡大会の準々決勝をスタンドで応援した。筑陽学園は6-1で飯塚を撃破し4強に進出。打点を挙げるなど活躍した6番右翼スタメン出場の長男に「甲子園はラストになるので行ってほしい。連れていってほしいです」。30歳の時、高校野球OBによる「マスターズ甲子園」出場以来の甲子園へ思いをはせた。

樟南から九産大に進学したが、1年の時に右肩を痛めた。卒業後は、社会人のプリンスホテル入りしたが00年に廃部。故障もあって野球人生に区切りをつけた。その後は数年、保険会社に務めたが「どうしても野球にたずさわりたい」と再奮起した。スポーツジム勤務の傍ら、筋肉や体幹強化を指導するトレーナーの資格を取得。7年ほど前から筑陽学園のトレーナーを週1回務めているほか、社会人の軟式野球部やソフトボールチームのトレーニングにもたずさわる。

長男大真は小4で野手として軟式野球を始め、中学時、父と同じ投手に挑戦したこともあったが基本的には外野手ひと筋。甲子園準V投手という父の偉大さを意識しだしたのは、父のススメもあった筑陽学園進学後だ。プレーする中で「勝つことが大変だと分かってきて、甲子園に行くなんてもっと大変ですごいこと」と、目標として父の姿を追いかけている。

父からの筋トレ指導もあり、入学時の70キロから74キロに体重が増加。昨年秋の新チーム発足時から右翼のレギュラーをもぎとった。打順も現在は6番が多いが、当初は3番を任せられていた。福岡大会4強入りし「1戦1戦、一生懸命戦い九州大会に出たい。父と甲子園に行けるようにしたいです」と恩返しを誓っている。

福岡さんは佐賀・鳥栖市で一緒に暮らす長男に「継続は必ず報われ自分の力になる」ということを伝えてきた。小学生時代から就寝前の素振りを欠かさない姿勢に「けがなく、野球を楽しんでもらいたい」と、自身の経験も踏まえエールを送った。

樟南時代、バッテリーを組んだ田村恵スカウト(42)が所属する広島はセ・リーグ3連覇を果たした。現在も、親交は続いている。元相棒の存在も励みに、長男との二人三脚にチャレンジしている。【菊川光一】

飯塚対筑陽学園 スタンドで見守る筑陽学園・福岡の父真一郎さん(2018年10月2日撮影)
飯塚対筑陽学園 スタンドで見守る筑陽学園・福岡の父真一郎さん(2018年10月2日撮影)
飯塚対筑陽学園 指示を受ける筑陽学園・福岡(2018年10月2日撮影)
飯塚対筑陽学園 指示を受ける筑陽学園・福岡(2018年10月2日撮影)