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藤浪「西岡さんは野球が好き。ボクも負けない」

のどかな安芸市営球場で行われている阪神秋季キャンプだ。しかしニュースは気になる。この日は大阪でトライアウトが行われていた。あの西岡剛も参加した。35歳の西岡に好結果は出なかったようだ。

ブルペンで笑顔を見せる藤浪(撮影・上山淳一)
ブルペンで笑顔を見せる藤浪(撮影・上山淳一)

「ヒットとかはないみたいですね。どうなんかな…」。こちらと同じように気にしていたのが安芸キャンプで連日、汗を流している藤浪晋太郎だ。大阪桐蔭の後輩。阪神でもいっしょにプレーした。

プロ1年目のオフ、藤浪が頑張ったご褒美として西岡からスーツをプレゼントされたのは有名だ。スーツと言っても並みではない。映画007シリーズの主人公ジェームズ・ボンドも着たという高級ブランド「トム・フォード」で100万円かけて仕立てたものだ。

「そうですよ。100万円ですからね。今でも大事に着ています」。当時、それを着て成人式にも出席した藤浪はこの日、言った。

それだけではない。集合時間ギリギリに行動する藤浪をみんなの前で「先輩が来てるのにもっとはよ来なあかんやないか」と叱責(しっせき)することもあった。その後、「そういうところが大事なんやで」とそっとフォローしてくれた。藤浪にとっては、優しく頼れる先輩だった。

そんな西岡は昨年限りで阪神を自由契約になり、今年は独立リーグでプレー。この日のトライアウトに挑戦した。「格好良さ」を気にする阪神時代のスタイルからすれば意外な気もするが藤浪はこう言った。

「剛さんは野球が好きなんですよ。メジャーに行ったんだとか、そんなプライドを置いといてトライアウトを受けるというのはそういうこと。格好とかそんなのはどうでもいいと思っているでしょう」

藤浪はこの日もブルペンに入り、臨時コーチの山本昌からカットボールのコツを伝授された。「右肩を前に出さないように意識して腕を振るイメージですね」。ブルペンで68球を投げた後もビデオでチェック。念入りにキャッチボールも行っていた。

「西岡さんは野球が好き。ボクも誰にも負けないぐらい野球が好きです」。藤浪はそう笑う。そんな藤浪に山本昌は「普通に自信を持ってマウンドに立てば15勝できる投手」と言い切った。野球ファンなら誰もが思い、願うことが来季、実現するか。藤浪には挑戦できるチャンスがまだまだ残されている。(敬称略)

記者生活30年超の高原寿夫・編集委員が、今シーズンの矢野タイガースに鋭く迫ります。

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