首相・安倍晋三の辞意が28日午後、明らかになり、夕方には自身で辞意を表明した。第1次政権を辞任したときと同じく病気によるものだ。前回、辞意を表明したのは07年9月12日。任期途中、2度目の辞任だ。

くしくも13年前のその日、阪神は同じ広島でカープと戦っていた。「もう辞めるん?」と驚き、広島市民球場の記者席でテレビを眺めていた記憶がある。今回同様、その日も阪神は負けているのだが。

ある立場につくときがあれば、当然、退くときも訪れる。大事なのはその立場にいる間に何をして、何ができなかったか、だ。政治の世界では同じことでも支持、不支持の立場によって評価は変わるし、一般人には理解できない部分も多い。言うまでもないが常人の想像の域を超えた仕事だ。

それと比べるまでもないがプロ野球の監督はシンプルだ。何をなしたかは誰にでも分かる。優勝できたか、どうかだ。03年の星野仙一、05年の岡田彰布、そして85年、球団唯一の日本一を成し遂げた吉田義男。歓喜に導いた監督の名前を虎党は忘れない。

しかし結果と同時に大事なのはファンをどんな気持ちにさせたかという点だ。勝敗にしか興味のない人は別にして、その監督のときにどんなチームになったのか、ということは興味のあるポイントだろう。

「超積極的。諦めない。誰かを喜ばせる。これが自分の目指す野球です」。指揮官・矢野燿大はそう言って現在の立場についた。正直、初めて監督をする人間が数年で成し遂げるのは簡単ではないと思えるが明確なポリシーだった。

そのポリシーに従えているか、公約を果たせているか。超積極的というのは1つは足を使うということだろう。この試合、それはあったか。1回、5回、そして近本光司が走者だった6回の無死一塁。結果的にいずれも足で仕掛けることはなかった。もちろん常に走ったり、エンドランで攻めたりがいいとは限らないがこの日のような接戦なら、やはり、足で攻める姿勢は見たかったと思う。

それでも阪神は諦めてはいないと感じる。やられっぱなしの広島森下暢仁に勝てなかったが白星も与えなかった。なんとかしようという気持ちは伝わってきた。強い巨人だって逆転負けをするのだ。ファンを含む誰かを喜ばせるためにもまだまだ諦めてはいけない。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)