温暖な沖縄にしては肌寒い気候で行われた楽天との練習試合(金武)。岡田彰布の“第2次政権”初対外試合は楽天投手陣の乱調もあって、序盤から阪神打線がホットに爆発した。

期待の佐藤輝明はもちろん、紅白戦から好調が続く原口文仁、板山祐太郎、木浪聖也らが打ちまくり、3回までに10安打12得点。終わってみれば16-1。シーズン中なら、もう「トラ祭りや!」とばかりに虎党が大騒ぎする展開なのだが、いかんせん、練習試合である。

「どの球団でもこんなこと、シーズンではほとんどありませんからね」。笑顔でそう話したのはスタンドでともに観戦した緒方孝市(日刊スポーツ評論家)だ。指揮官として広島を3連覇に導いた男は冷静な目で試合を追っていた。

その中、こちらが気づかないところで注目したのは木浪の走塁である。2回、9番・木浪は会心の中前打を放った。これをきっかけに無死一、二塁。続く2番・中野拓夢は左前にきれいに流し打つ。

満塁だ…と思ったところで楽天の左翼・正随優弥が打球をファンブルした。広島から現役ドラフトで楽天入りしたばかりでアピールしたいところだが少々、まずいプレー。三塁コーチの藤本敦士は左前打で三塁に向かってくる二塁走者・木浪に「ストップ」の指示を出していた。しかし正随がはじいたことですぐに「ゴー」に切り替え。木浪が生還した場面である。

「あれは木浪のファインプレー。打球を最後まで自分の目で追っているからすぐに体勢を立て直せるんです。集中している証拠」。当たり前のプレーに見えたが、緒方はそう説明した。

中野の二塁コンバートにより、遊撃争いは激しくなっている。有力候補の木浪にすれば練習試合でも真剣勝負。その気概が表れたプレーだったのかもしれない。そんな話をすると緒方はこう言った。

「そうなんですよ。遊撃だけじゃない。外野も同じです。新しい外国人が2人加入し、大物ルーキーも入った。いや、この時点で岡田監督がレギュラーを確約している内野の選手たちだって結果が出なければ分からないですよ。だから今年の阪神は面白い」

選手を育成し、勝たせることでは定評のある広島ひと筋の男はキッパリと話した。厚くなってきた選手層。それを実感させる岡田阪神のキャンプだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

練習試合・楽天対阪神 2回表阪神無死、木浪は中前打を放つ(撮影・上山淳一)
練習試合・楽天対阪神 2回表阪神無死、木浪は中前打を放つ(撮影・上山淳一)