緊張感のあった宜野座キャンプを打ち上げた。昨秋の安芸キャンプでは指揮官・岡田彰布の口から「キャンプMVP」の言葉は出ずじまい。「MVPなんて。そんなん実戦もまだやってないしね」。テレビ局からそう聞かれた際に岡田はそう言ったものだ。
それから3カ月。このキャンプは実戦もあった。それでも「まだ練習よ」と言うかなと思ったがズバリ個人名が出た。投手の大竹耕太郎、野手で井上広大。この意味はなかなか大きい。
MVPと反対にと言うべきか、岡田が手応えを得ることができなかった存在もいる。助っ人勢だ。投手については前日「日本の野球をなめたらあかんよ」と言っていた。ノイジー、ミエセスの野手もこの段階では合格点は出していないだろう。大竹耕太郎、井上の名前が出たこともここに関係しているのではないか。
もちろん外国人は「シーズンに突入しないと分からない」というのはこの世界の常識だ。当然、岡田もそれは分かっているはずだが、目に見える若手たちの躍動と比べ、なかなかいいことは言えなかったのかも。
だけど、これは虎党にとっては喜ぶべきことかもしれない。このキャンプまでの様子に岡田のMVPを加え、スタメンを本当に組めれば、こんなオーダーも予想できる。
(中)近本光司(D1)
(二)中野拓夢(D6)
(右)森下翔太(D1)
(一)大山悠輔(D1)
(三)佐藤輝明(D1)
(左)井上広大(D2)
(遊)木浪聖也(D3)
(捕)梅野隆太郎(D4)
(投手)
※Dはドラフト順位
くわしい虎党から「そんなん、おまえ」と言われるだろうか。意外に現実味があるスタメンかもしれない。ベテランという存在がいなくなった阪神。光るのはフレッシュさだ。さらに「いつでも代わったるぞ」という面々も多く控える。
お気づきだろうが、助っ人抜きでこのオーダーを組めるのは相当なものだ。しかも「生え抜き、ドラフト上位中心」である。1番とクリーンアップがドラ1。中野のドラ6は幸運だったということを考えても、球団フロントと現場が一体となった理想型と言ってもいい。やろうと思ってもなかなかできないことだ。
指揮官はこれもドラ1の地元出身・岡田。これでアレに成功すれば。猛虎の「伝統」に新たな1ページが加わるのは間違いない。(敬称略)