「10連勝すると、その後に10連敗するような気がするのだ。これは選手時代から感じていたこと。現役時代、11連勝した直後に8連敗したことがあった。これがトラウマになっているのかもしれないが、通常ではありえないような連勝をしてしまうとその後に来るであろう反動が怖いのだ」

これは指揮官・岡田彰布が以前に出した著書「動くが負け」の中で述べていることだ。「トラウマ」というのは自身がプロ3年目だった82年のことか。

指揮官・安藤統男が率いたシーズン。阪神は6月から7月にかけて引き分けを挟んで11連勝をマークした。だが、その後に8連敗を喫し、最終的な順位は3位だった。監督としても07年に経験している。このシーズン、阪神は8月下旬に10連勝したものの9月に8連敗を喫し、この年も3位に終わった。

「反動」を恐れる理由はいくつかあるが、簡単に言えば「無理がたたる」ということだ。勝ち続けるためには例えばリリーフ投手を連投させるなど選手起用における無理が出ているはず。そうなると連勝が止まったときに体力面はもちろん、メンタル面でも変化が起こり、それがマイナスに作用する…という考えだ。

だからこそ岡田は連勝が止まったときなど、それに関する質問が出たときに「そんなん負けるよ」などと苦笑しながら話すのである。「野球は負けたり勝ったり」。これはオリックス時代に岡田も選手として仕えた知将・仰木彬が残した言葉だが、岡田もそういう感覚なのだろう。

しかし、その10連勝を岡田率いる阪神はここでやった。これは、もう安全圏という気配だ。同時にそんな経緯を知るのでまだ安心できない、という気もしている。心配性と言えばそれまでだが、こればかりは終わってみないと分からない。

9回を抑えた抑えの岩崎優はこのヤクルト戦で3連投となった。10連勝中、8試合で登板している。10日巨人戦(東京ドーム)の前にはベンチから外し、先に帰阪させる気遣いを見せたがここで一気に踏ん張らせた格好だ。

そしてこの試合、梅野隆太郎の骨折というアクシデントも出た。これは10連勝とは関係ないが大きな痛手だろう。次週は広島、そしてDeNAの対戦。ゲーム差はあるとはいえ、ここでの戦いは重要だ。ずっと書いてきたが、いよいよ本物の正念場だ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

【イラスト】阪神の2桁連勝
【イラスト】阪神の2桁連勝
阪神対ヤクルト 5回裏阪神1死、梅野(右)は左手首に死球を受け、岡田監督(中央)に声を掛けられる(撮影・宮崎幸一)
阪神対ヤクルト 5回裏阪神1死、梅野(右)は左手首に死球を受け、岡田監督(中央)に声を掛けられる(撮影・宮崎幸一)
阪神対ヤクルト 5回裏阪神1死、左手に死球を受け苦悶(くもん)の表情を見せる梅野(撮影・上田博志)
阪神対ヤクルト 5回裏阪神1死、左手に死球を受け苦悶(くもん)の表情を見せる梅野(撮影・上田博志)
阪神対ヤクルト 10連勝を決め岡田監督(左)と岩崎から勝利球を受け取る伊藤将(左から3人目)。(撮影・宮崎幸一)
阪神対ヤクルト 10連勝を決め岡田監督(左)と岩崎から勝利球を受け取る伊藤将(左から3人目)。(撮影・宮崎幸一)