「昔の巨人の試合」を思い出す。若い人は知らないかもしれないが昭和の時代は夜、ナイター中継が毎日のようにあった。大阪でも巨人戦が中心だったと記憶する。それも試合途中から始まり、試合途中で終わるのが常。そして巨人がリードされている段階で放送が終了するのだ。「負けたな」と思って翌朝、新聞を読むと逆転勝ちしている。それが強い頃の巨人だった。
この日の阪神、まさにそういう試合と感じる。8回までとまるで違う展開になった9回の攻防、大山悠輔、石井大智ら殊勲者の活躍は虎番記者の記事でじっくり読んでほしい。ここで注目するのはこの試合でも目立った“ある要素”だ。
先発・村上頌樹が筒香嘉智に2打席連続で被弾。長期ロードの8月、これで阪神投手陣が許した本塁打は「16本」になった。他球団も同じように打たれており、比較して特に多いというわけではないのだが、少々、特徴的なことがある。下記は阪神投手陣の被本塁打、月別の数字だ。
3、4月=5本
5月=6本
6月=5本
7月=3本
8月=16本
今季ここまで阪神投手陣が食らった本塁打は「35」。これはセ・リーグの中では圧倒的に少ない数字である。先発スタッフ、ブルペン陣の充実ぶりを示すものだろう。7月の3被弾などすさまじい。だからなのか余計に今月の多さは目立つ。この日で前カードのヤクルト3連戦から4試合連続被弾。これは今季最長だ。
「その話で、これといって思い当たるところはないですけどね。もちろん夏場で疲れもあるだろうし(相手打者が)投手に慣れてきているのもあるとは思いますけど…」。投手コーチ・安藤優也は真剣な表情でそう話した。
正直、被本塁打が多くなっても試合自体は順調に勝ち進んでいるので特に問題があるわけではないかもしれない。特にこの日など相性というか、両球団の状況がクッキリと出た展開。阪神は、もはや、こわいものなし状態だ。
それでも、ここに来て本塁打をよく浴びているのは少し気になる。特に歓喜の後に短期決戦が控えていることを思えば、一撃で流れが変わってしまう本塁打は、やはり、こわい。安藤はそう話したものの、チーム内部では把握しているはず。勝ちにおごらず、警戒していきたいところだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




