「阪神ばっかりやなあ…」。23日に行われたドラフト会議。3球団競合となった創価大・立石正広の交渉権を得るため、壇上に並んだ3球団の監督を見たときのことである。

阪神指揮官・藤川球児はもちろん、日本ハム・新庄剛志、さらに広島の新井貴浩。偶然にも3人とも阪神でプレー経験がある面々だ。さらに立石ではないが米国留学中の佐々木麟太郎を引き当てたソフトバンクのCBO城島健司も阪神で活躍した経験がある。

「阪神に縁のある人ばっかりですやん」。そんな話を阪神の球団幹部にしたら「私もそう感じていました」と笑った。虎党はもちろん、野球ファンでも同じ印象を持った方も少なくないだろう。

「阪神から出て、よその監督とかなったの、おらんのちゃうか?」。昔にそんな話をしたのは知将・野村克也だ。26年前、99年のことだったか。野村が阪神監督に就任し、雑談中にそんなことを口にした。

その時点で田淵幸一がダイエー(当時)の監督を経験していたし、のちに中村勝広、岡田彰布(現オーナー付顧問)がオリックスの指揮を執っている。だから野村の発言は正確ではないのだけれど、言いたいことの意味は分かった。

歴史、人気があるのに球界における存在感、地位はさほど高くないということを言いたかったのだと思う。かつて巨人から歴史的トレードで阪神に来た小林繁は阪神について「歴史はあるが伝統はない」と言った、と伝わる。

それを思えば、この3シーズンだけでも優勝、2位、そして優勝と好成績を続け、他球団の監督を務めるような人材も多数、輩出している。新井、城島は他球団から阪神に来た人物ではあるが“阪神色”はそれなりにあると思う。そう思えば「暗黒」などと称された時期を超え、時代は変わったなと実感するのだ。

「しばらく先まで(阪神の)未来が明るくなりました」。立石を引き当てた球児が発した言葉だ。実際に活躍できるかどうかは入ってからのこととは言え、阪神にいい風が吹いている気はする。

25日からはソフトバンクとの日本シリーズだ。「強い阪神」として、今につながる流れをつくった闘将・星野仙一が03年に激闘したのと同じ相手との対戦である。「阪神黄金時代」到来の象徴となるかどうか。熱い戦いを期待する。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

日本シリーズ前日の監督会議を終えて握手を交わす、阪神藤川監督(左)とソフトバンク小久保監督(撮影・岩下翔太)
日本シリーズ前日の監督会議を終えて握手を交わす、阪神藤川監督(左)とソフトバンク小久保監督(撮影・岩下翔太)