日刊スポーツは、野球を始める子どもたちを全力で応援します。いざスポーツ用品店に向かっても、山ほど陳列されている道具から何を選んでいいのか、途方に暮れると思います。心配はいりません。野球用具メーカーの名門「SSK」の協力を得て、道具選びのイロハを紹介します。球春到来、入学シーズンも間近。子どもの夢をサポートしてあげましょう。

(2016年2月2日付紙面から)

最初の長さを第1基準にする。1本1万円を基準に、価格には幅がある
最初の長さを第1基準にする。1本1万円を基準に、価格には幅がある

 野球は、道具に頼る比重が高いスポーツだ。スタートが正しければ、子どもは野球の魅力に取りつかれていく。逆に間違った道具を選んで苦痛に感じるようなら、興味はどんどん薄れてしまう。三種の神器はバット、グラブ、スパイク。まずはバットを学ぼう。

 どうやって最初の1本を見つけ出せばいいのか。SSK社の小林邦夫さん(55)が、「野球を始めようとする小さなお子さんが、身長の半分もある大人のバットを振ることは、ずばぬけたパワーがある子を除いては非常に難しいです。振った時に生じる遠心力に、自分が振られてしまうからです。まず一番の選択ポイントは、バットの長さです」と教えてくれた。

 理想の長さには目安がある。「『わきの下の付け根~指先の長さ×1・3倍』です。でも、お店にメジャーが置いてない場合もある。その場合は…」と立ち上がった。「腰骨と股関節の付け根の中間くらい。実はこれが理想の長さです」。子どもの体はそれぞれで、あくまでも目安だが、覚えておきたい法則だ。

 次は重量。「初めての方なので、できるだけ軽いものを選びましょう。カーボン系の素材は比較的軽いです」。長さは70センチから、重さは400グラムを切るものから、小刻みに用意されている。バットに重さを加えていく一般的な理由として「向かってくるボールの力に負けずにバットを衝突させ、より強く、より遠くへ飛ばす」が挙がる。野球を始めて日が浅い投手が投げるボールには、バットが負けるまでの力はない。1本目を選ぶ優先順位として【長さ>重さ】が成り立つ理由である。

 バットの根元にも注目しよう。グリップエンドには、さまざまな形がある。

 少年用バットは、プロが使うモデルを模したタイプも多い。現在の主流は、グリップからなだらかにグリップエンドへとつながっている。「人間の手は、小指が一番短い。でも、一番力が入るのは、小指なんです。ギュッと握った時に、小指は短い分、グリップへのかけ方が、どうしても弱くなる。『ややフレア』の形が、持ちやすいです」。小指への負担も軽減される。ただ現在は、グリップの形を補正するグッズがそろっている。そうナーバスになる必要はない。

 金額は1万円前後で幅があるが、安い買い物ではない。ゴルフショップと違い、バットの試打室を設けている店は少ない。店内で素振りをするにも、スペースの確保が難しい。一足先に野球を始めた友人がいたら、ちょっと拝借して振らせてもらおう。何本か試せたら、なおいい。知識に加えたちょっとの手間が“いい出会い”を生む。「バッティングセンターのボールは、試合球より丈夫なものを使っている。変形の原因になります。グリップは、すり減ってきたら張り替えましょう」。手入れもしっかりして大切に使おう。

 体力と技術の向上に従って、バットの選び方も変わっていく。「バランス」について考える。(つづく)【小島信行、宮下敬至】