夏春連覇を目指した大阪桐蔭(大阪)が記録的大敗を喫した。敦賀気比(福井)に対し、エース田中誠也(3年)が2回途中で10失点。打線も振るわず24年ぶりの完封負けを喫した。

 池田(徳島)以来史上5校目となる夏春連覇の夢は、完敗で消えた。初回2死満塁、2回2死満塁でエース田中が、敦賀気比の背番号17の松本に連続被弾。ここまで全3試合完投し、自責点1の田中が2回もたず10失点し、泣きながらマウンドを降りた。「初回はフォークが甘く入ってしまった。力不足でした」。試合後も涙は止まらなかった。

 昨夏の甲子園準決勝、敦賀気比戦は初回5失点から打線の援護で逆転した。12年春は死球禍で2回戦から4番を欠きながらも優勝。豊富な練習、準備力で逆境をはね返し「平成最強」であり続けた。だが中心打者がふるわず、田中頼みになった破綻が、大阪桐蔭史上最多得点差の大敗となった。自身甲子園43試合目で初完封負けの西谷浩一監督(45)は「まだ日本一になる力がなかったということです」と声を振り絞った。

 目指したのは83年春の池田以来の偉業。報徳学園(兵庫)2年夏の練習試合で、西谷監督は徳島の池田町に行った。池田の試合を告げる町内放送が流れ、集まった観客がスタンドを埋めつくした。「大変な熱気。これが池田かと圧倒されました」。監督の思い出も、チームを作る力になった。「1度春の山を下りて、夏の山に登れるように準備したい」と西谷監督。「このチームで日本一になりたいと思ってきた。夏に戻ってきます」と福田主将。雪辱の夏が来る。【堀まどか】

 ◆大阪桐蔭24年ぶり完封負け 大阪桐蔭は春夏通算54試合目で2度目の完封負け。前回は91年春準々決勝で上田佳範(松商学園)に完封された。甲子園で完封負けがない連続記録は50試合でストップ。最長の横浜(68試合継続中)に迫っていたが届かなかった。