素敵なVロードが見えた! 第88回全国選抜高校野球大会(20日から12日間、甲子園)の抽選会が11日、大阪市内で行われた。単独最多5度目の優勝を目指す東邦(愛知)の初戦は第3日第2試合、関東第一(東京)に決定。エースで4番の藤嶋健人主将(3年)は、調整がしやすいよう、試合開始が常に午前11時以降となるくじを狙って引き当てた。幸運くじのご褒美はステーキ。注目右腕が、優勝旗もたぐり寄せる。

 意中の「15」を手にした藤嶋はホッとした表情を見せた。1週間前から森田泰弘監督(56)に、試合開始が常に午前11時以降となるよう「15~18のくじを引け」と指示を受け、担任でもある小嶋裕人部長から引き当てたら「焼き肉でもステーキでも食わせてやるぞ」とも言われていた。狙い通りの15番くじ。藤嶋は「ステーキで」とオーダー。森田監督が横から「和牛だろ?」と聞くと「一番高いやつで」と笑顔だった。

 二択に迫られていた。藤嶋がくじの前に行くと、選択肢は「1」か「15」。心の中で「15番こい!」と祈った。思いは通じた。「おしっ! という感じです」と主将として大役を終えた。森田監督も「期待に応えてくれる。いろんな意味でね」とうなずいた。

 日程も藤嶋に味方する。引き当てた15番だと初戦が11時半、2戦目も11時半…。森田監督は「先のことを見てはいけないけど、日程的なもの」。大会期間中も同じ時間で動くことができ、コンディションは整いやすい。さらに大会第3日周辺から逆算し、調整も重ねてきた。全ては計算通り。「春の東邦」は緻密だ。

 11年ぶりのセンバツで5勝し優勝すれば、中京大中京(愛知)を抜いて最多の5度目のV。さらに春の勝利数は通算55勝となり、史上最多の中京大中京に並ぶ。投打でチームを支える藤嶋は「今まで先輩が積み重ねてきたもの。今度こそ自分たちが歴史を新しく作りたい」と表情を引き締めた。森田監督も「ぜひこの学年で(史上最多優勝を)したい」。

 1年夏から聖地マウンドに立った“バンビ”藤嶋は、投げては最速146キロ。打っても4番として昨秋神宮大会・秀岳館(熊本)戦で2打席連発などプロも注目する存在だ。ただ、冬で力をつけた打線は藤嶋頼みではなくなった。盤石の布陣で、いざ甲子園へ。東邦に春の風が吹いている。【宮崎えり子】

 ◆藤嶋健人(ふじしま・けんと)1998年(平10)5月8日、愛知県豊橋市生まれ。小2から「栄ドリームズ」で野球を始め、豊橋南部中では「東三河ボーイズ」。東邦で1年夏に主戦格として甲子園に出場し、初戦の日南学園に勝利。77年夏準優勝の1年生エース坂本の愛称にちなみ「バンビの再来」と騒がれた。2年夏は県4強。昨秋の東海大会準々決勝・中京戦で7回参考の無安打無得点。最速146キロ。176センチ、80キロ。右投げ右打ち。両親と兄。