新潟明訓が劇的な逆転サヨナラ勝ちをした。北越を11-10で下し、10年春以来の優勝を決めた。8-10で迎えた9回2死満塁の場面で3番、主将の栗山謙(3年)が左翼越えの逆転サヨナラ三塁打。最大7点差のゲームをひっくり返して、勝利で締めくくった。両校は6月4日開幕の北信越大会(福井)に出場する。

 最後の最後に頼りになるのは、主将のバットだった。8-10で迎えた9回2死満塁のシーン。カウント1-1からのチェンジアップに栗山が強烈な一撃を加えた。ボールは左翼手の頭を越えてワンバウンドでフェンスに届く。起死回生の逆転サヨナラ三塁打。一塁走者の富田秀紀(3年)が11点目のホームに滑り込み、3時間2分に及ぶ激闘に終止符を打った。「さすがだな、とみんなに言われた」と豪打を放った栗山はちょっぴり笑った。

 「今までと違った感触。アッ、これは(左翼手を)越えたな、と思った」と栗山は逆転サヨナラ打を振り返る。決勝は5打席まで無安打。長岡工との14日の準決勝でも4打数ノーヒットと、バットから快音が途切れていた。しかし、9回の好機に背番号6の主将は燃えていた。9回表の守備では2死一、二塁からの遊ゴロを的確に処理。「9回の守りで火がついた。つないでくれたチャンス。決めてやろうと思った」。本間健治郎監督(42)も「集中していたから邪魔をしないように声を掛けなかった」と、打撃に入る栗山に無言で勝利を託していた。

 昨秋は8強止まり。「チーム内に自分が自分が、というプレーが目立った」と栗山は言う。そんな欠点を秋以降に「つなぐ打線」で改善した。7回表終了時点で3-10の7点差。ベンチ前の円陣では、お互いの目を見つめ合い、ピンチにも心をひとつにした。「(最後の)一打で吹っ切れた。北信越は先頭になってやりたい」。緊張を強いられる場面の快打で、クリーンアップの一角が復調した。【涌井幹雄】