青森山田が8-4で大湊を下し、準決勝進出を決めた。夏の青森大会4回戦では大湊が3-2でセンバツ出場の青森山田を破った。勢いに乗った大湊は快進撃、下北旋風を巻き起こして準優勝した。この日は青森山田が夏の雪辱を果たした。だが大湊も終盤猛反撃で「下北魂」健在をみせた。

 青森山田が試合の主導権を握った。主将の3番相坂大真二塁手(2年)の2点タイムリーなどで前半4-0とリード。先発の対馬竜之介(2年)が6回まで無安打無失点に抑えた。だがこのまま引き下がる大湊ではなかった。7回表3安打2四球で3点を返し、1点差に詰め寄った。

 青森山田も執念をみせた。その裏、2番白鳥航大中堅手(1年)の右越え三塁打と相坂のタイムリーで4点。9回表、大湊は必死の反撃で1点を返したが、力尽きた。両校の気迫あふれる熱戦に、観客席から大きな拍手が起こった。

 7月15日、八戸市長根公園野球場は異様な熱気に包まれた。大湊が昨秋東北大会優勝、センバツ出場の青森山田を倒した。0-2で迎えた8回表2死満塁から連続押し出しで同点。9回表、タイムリーで逆転した。「下北から甲子園」を合言葉に、大湊の快進撃が続いた。八戸工大一、弘前学院聖愛と私立強豪を連破。決勝で八戸学院光星に敗れたが、ナインの健闘は下北半島だけでなく青森県全体を熱くした。

 兜森崇朗監督(37)は「あの敗戦の反省から新チームの練習が始まった。大湊の粘り強さに負けない精神力、技術を身につけなければと思った」という。夏休みは日の出から日没まで猛練習に励んだ。「選手たちはよく頑張った。その成果が今日の試合に表れた」とねぎらった。2安打4打点の相坂は「勝ててよかった。3年生の悔しさを晴らせた」と声を弾ませた。

 大湊・工藤公治監督(44)は「7回にもっと得点できていれば。焦らず、後半勝負と言い聞かせていたが」と悔しそう。だが「前のチームはひと冬の練習で成長した。このチームも成長できる。ここからです」とネバーギブアップ宣言。夏から秋、そして来年春、夏へと「下北魂」は受け継がれる。【北村宏平】