仙台育英の本格派サウスポー長谷川が快投した。エースナンバーこそオリックス佐藤世那の弟、令央(2年)に譲るものの、最速140キロ直球を主体に相手打線をガンガン攻め立て、奪三振の山を築いていく。打線の援護に恵まれない試合の中、背番号「10」は9回124球を投げ、1安打完封勝利を飾り、15個の三振を積み上げた。

 「おりゃ!」と叫び、時折、帽子を飛ばしながら投げ込んでいく。「守備からリズムを」と気持ちを前面に出して自分もチームも盛り上げる。初回に2つの空振り三振を取ると、その後もカウント球にカーブを放り、追い込んでからは縦のスライダーとチェンジアップをまぜて、打者を斬り続けた。「真っすぐは自信がある。押していけるのが理想」。好きな投手は西武の菊池雄星。将来は「プロ野球にいきたい」と照れながら話した。

 秋田出身で軟式の桜中時代に全国大会は経験済み。小学時代に楽天ジュニアでともにプレーした西巻賢二主将(2年)に誘われて同校進学を決意。「本気で全国優勝したい」と意気込む。この日は、今夏準々決勝佐沼戦で3番手で登板して以来の公式戦マウンド。「緊張した」というが「点を取られたら(勢いを)持って行かれると思い全力で投げました」と腕を振った。

 自身最多の15Kをマークし、センバツへ向けスタートを切った。まず8強入りへ貢献した左腕は「今日は四球が多かったので修正したいが、抑えて勝利に導けたのは自信になる」と胸を張った。【成田光季】

 ◆長谷川拓帆(はせがわ・たくほ)1999年(平11)4月30日、秋田県秋田市生まれ。小6時に楽天ジュニアでプレー、エースで主将だった秋田・桜中軟式野球部では全国大会出場。今夏は背番号「11」でベンチ入り。176センチ、74キロ。左投げ左打ち。家族は両親と兄。趣味は音楽鑑賞。