広陵(広島)が15安打10得点で仙台育英(宮城)を破り、準優勝した07年以来10年ぶりの4強入りを決めた。

 2度の満塁のピンチを切り抜けて勝利をもたらした広陵エース平元に、驚くべきメンタルトレーニングが隠されていた。6-2で迎えた6回2死二、三塁から2番手で登板。四球で満塁としたが後続を断った。「いきなり言われてブルペンで肩を作っていなかった。もういいやって開き直っていった」。続く7回にも2死満塁のピンチを招いたがまたも後続を断った。「スタンドのみなさん、ヒヤヒヤさせてごめんなさい、みたいな感じで投げました」。ともにピンチをピンチとも思っていない冷めた? 思考回路で仙台育英の反撃を食い止めた。

 普段から「大声で歌う」ストレス解消法を実践しているという。「尾崎豊の『15の夜』や、題名が分からないんですけど『ふたりで~、ドアをしめて~』という歌(尾崎紀世彦『また逢う日まで』)、それに『上を向いて歩こう』(坂本九)。宿舎で大声で歌うと、何事もポジティブに考えられるんです」。中学のころは「味方の失策でピンチばかり背負っていたし、あれで鍛えられたかもしれません」とも振り返る。どんなピンチにも動じない強心臓は、今どきの球児からは想像できない、ちょっぴり昭和の匂いがする「懐メロ」歌唱の特訓で作られた? ものだった。