日大三が、9回の猛攻撃で佼成学園を11-5で下し、7年ぶり13回目の優勝を果たし、来春センバツ出場を当確させた。1点ビハインドの9回に8者連続得点で8点を奪って、逆転に成功。「デカプリオ」こと金成麗生内野手(3年)から4番を受け継いだ大塚晃平外野手(2年)が、決勝打を含む4安打2打点と活躍した。第90回選抜高校野球大会(来年3月23日から13日間・甲子園)の出場校選考の重要な資料となる秋季大会はこの日、10地区全てが終了。10日開幕の明治神宮大会の出場校が出そろった。

 「デカプリオ」の後継者の一打が、日大三を東京大会制覇へと導いた。9回、同点に追いつき、なおも無死一、二塁。4番大塚が右翼に決勝の適時二塁打を放った。憧れのソフトバンク内川のように広角に打ち分け、4安打2打点。相模ボーイズの先輩でもある金成から4番を受け継いだ新4番は「自分の打撃をすれば大丈夫だから楽にいけ」の助言を胸に、打線をけん引した。

 持ち前の勝負強さを発揮した。重圧を感じるよりかは「集中できます」と大舞台に燃えるタイプ。超満員の中、4時間を超える熱戦だった清宮擁する早実との春季東京大会の決勝では、9回に代打で2ランを放った。チームは昨秋、今春の東京大会決勝で早実に敗戦。小倉全由監督(60)も「ここ最近、決勝で勝てない監督でしたから」と自虐的に振り返ったが、準優勝の呪縛を解いた。

 瀬戸際に立たされながら、主将の日置を中心に強力打線が爆発した。1点を追う9回、先頭の四球を足掛かりに8者連続得点。唯一、前チームからスタメンの日置が値千金の同点打を放ち、この回2度目の打席でも適時打。父透さんも上田(長野)で夏の甲子園に出場した日置は「昨秋の悔しさもあったので、勝てて良かった」とかみしめた。

 「ドクターK」と呼ばれた桜井や、長距離砲の金成のようなタレントは不在でも、チーム一丸で7年ぶり13度目の優勝を勝ち取った。日置は「去年と比べたら、弱いと言われますし、弱いんだという気持ちで練習しています」と話した。小倉監督は「選手が試合ごとに成長した」と目を細めながら、「発展途上のチーム。グラウンドに帰って、しっかり練習します」とさらなるレベルアップを誓った。【久保賢吾】