東北が柴田に5―3で逆転勝ちし、3年連続で準決勝に進出した。

 雪辱の一打が右翼線に飛んだ。東北は1点を追う9回1死二、三塁、9番阿部真大(なおた)捕手(3年)が外角直球を振り抜くと、打球は右翼手を越えライン際に落ちた。2人をかえす2点二塁打。形勢逆転の殊勲打に阿部は、「とにかく同点にすることだけを考えて当てた」と笑顔だった。

 柴田には、昨秋の県大会初戦で敗れていた。阿部は「あの時は投手を落ち着かせてあげられなかった。投手を1人ぼっちにさせてはいけない」と、敗戦から学んだ。その教訓を生かし、2-3と逆転された直後の5回1死満塁から救援した古川原将真投手(3年)に、「お前なら大丈夫。投げたい球を放って来い」と伝え、心を落ち着かせた。阿部の助言もあり、三振と二飛で切り抜けた。

 古川原が無失点で試合を締めると、ベンチのナインはガッツポーズで歓喜を爆発させた。仙台商との2回戦は延長12回の末、5-4で競り勝ち、この日も土壇場で逆転。苦しみがらも、昨秋にはなかった粘り強さが出る。阿部は「自分たちがやってきたことは間違いじゃなかった。狙うのはもちろん優勝」と春連覇を誓った。【神稔典】