念願の初勝利だ。浦和実が昨夏甲子園8強の浦和学院に完封勝ち。市民大会含め1度も勝ったことがなかったが見事勝ちきった。

指導歴32年目の辻川正彦総監督(54)が「大一番」と名打った4回戦屈指の好カード。ぎっしり埋まった観客席。緊張感が張り詰める展開に「決勝戦みたいだな。体に悪いよ…」と振り返った。

エース豆田泰志投手(2年)が2安打完封の大活躍だった。春の関東大会で強打の山梨学院相手に11奪三振の実力をあらためて証明した。

「疲れましたね。うれしかったです」と3人兄弟の末っ子らしくおっとりした口調。

「緊張はしません」と大舞台にも動じない。ピンチでも笑みを浮かべる強心臓の持ち主は「投げるのが楽しいです。ずっと投げていたいです」と投手をやるために生まれてきたような選手だ。

貢献度では4番竹内琉生捕手(3年)も負けていない。内角をつく強気なリードでエースの良さを引き出し、バットでは4回に決勝点となる左越え本塁打を放った。

「(豆田)泰志は絶好調ではなかったですけど気持ちで投げていました。強気に、でも一辺倒にならないように内角を攻めて外角にも、と。外と内のストレートで詰まらせられた」と手応えを口にした。

本塁打後は「1面でしょ!」とおどけていたが「チーム状態はよくなってきている。1戦1戦なので。切り替えて行きたい」まじめな表情で次を見据えた。【佐藤成】