新潟県王者・北越は3-2のサヨナラ勝ちで北陸(福井3位)を破り、8強入りを決めた。2-1の9回表の守り。阿部柚士郎投手(2年)のけん制悪送球で同点を許したが、その裏1死二塁で4番本間圭(2年)が右翼線へ殊勲打を放った。14日、準々決勝で上田西(長野1位)と対戦する。

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4番本間圭のバットが試合を決めた。同点の9回裏1死二塁。「初球をたたこう」と心に決めて入った打席。初球、内角への直球を右翼線に運んだ。祈るように打球の行方を見ていた本間圭。フェアゾーンに打球が落ちるとほっとした表情で笑い、チームメートが作る歓喜の輪に加わった。

9回の打席まで4打数無安打。3三振を喫するなど北陸先発の印牧光希には「タイミングが合っていなかった」。迎えたサヨナラのチャンス。打席へと向かう本間圭に小島清監督から「ストライクは全部振って行けよ」のアドバイスが飛び、悩みが吹き飛んだ。「少し遅れていたんですけど、思い切ることができました。大事な場面で1本出て本当に良かった」。高校初のサヨナラ打を笑顔で振り返った。

2ー0のリードを、9回表に追い付かれる苦しい試合展開だった。好投を続けていた先発阿部投手が乱れ、2四球と2安打で初失点。なおも1死満塁で阿部が二塁へのけん制を悪送球で試合は振り出しに。ミスで失点する悪い流れだったが「しょうもない点数の失い方だったが、その後の追加点は許さなかった。よく踏ん張った」と小島監督。同点後、なお1死一、二塁のピンチを切り抜けた粘りの守りがサヨナラ劇につながった。

準々決勝は、速球派右腕・阿部巧雅投手がいる上田西が相手。チームの主砲・本間圭は「いい投手だと思うが打っていきたい」。来春センバツの北信越出場枠は2。春夏通じ初の甲子園出場が、ほぼ確実となる決勝まで一気に駆け上がるつもりだ。【山岸章利】