第92回選抜高校野球大会(19日開幕、甲子園)の臨時運営委員会が11日、大阪市内で開かれ、無観客での開催を断念し、中止が決定した。
1942年(昭17)から46年まで、太平洋戦争の影響で中断した期間以外では史上初の事態。東北から出場予定だった仙台育英(宮城)須江航監督(36)、鶴岡東(山形)佐藤俊監督(48)らが心境を語った。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、春季大会を含めて各校の今後の予定も不透明となった。
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仙台育英は午後2時46分、多賀城市内のグラウンドに全員が集まり、東日本大震災追悼の黙とうを行った。約3時間後の中止決定。須江監督は「選手たちはこの状況の中でも一喜一憂せず、集中して練習してくれた。立派だと思う。すごい経験をしたと思うし、学びに変えられるように寄り添ってあげたい」。3月4日の時点で無観客開催に向けて準備を進め、ギリギリまで尽力した関係者にも感謝の意を表しつつ、「東北、宮城県人としては穏やかに過ごしたい日だった。絶対に夏はこの子たちを甲子園に連れていきたい」と語気を強めた。
「本音を言えば…」と昨秋以降の競争を勝ち抜いてきた選手の心情を心配した。センバツのメンバー選考と銘打って、全34試合の紅白戦を実施。この日に発表予定だった18人には、秋にベンチ外だった選手が3人も入ったことを明かした。「どこよりも熱量のある競争を勝ち残った選手の気持ちを考えると胸が痛い。人生を変えるチャンスをつかんだはずだったのに。何かセレモニーをやってあげたい」。実際に背番号を渡すことなど“決起イベント”も検討した。
田中祥都主将(2年)も「最後の夏に向けて、チームが1つの方向に進んでいくケアをしたい」と気丈な姿勢を貫いた。春季県大会などの開催も不透明だが、夏の甲子園3年連続出場に向け、心身の強さを示すしかない。【鎌田直秀】

