南北海道大会は5日、3試合が行われた。準々決勝では昨春全道王者の駒大苫小牧が苫小牧中央を3-2で下した。エース右腕、北嶋洸太(3年)が、ライバルのプロ注目左腕、根本悠楓(はるか=3年)との投げ合いを制し、4強一番乗りを果たした。立命館慶祥、札幌第一は1回戦を突破した。

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大会屈指の好投手の競演は駒大苫小牧の絶対的エース北嶋に軍配が上がった。2点を先制されながらも9回を1人で投げ抜き10奪三振。地区から3戦連続完投で4強をつかんだ。「点数を取られたけど粘り強く投げられた。あいつが引き出してくれた。あいつも良いピッチングをしていたので、自然と良いピッチングができた」。プロ注目の左腕、根本の存在が限界値を超えさせた。

昨年、公式戦では春夏秋と3度対戦。互いにマウンドを譲らなかったエース同士の最終決着の舞台が、今夏、巡ってきた。「自分は自分だと思って投げた」。意識はしていなかったはずの根本に、2回に右翼に本塁打を打たれ先制点を許した。気持ちのこもった球がその分、ほんの少し浮いたところを捉えられた。

それでも2年春から背番号1を背負い、佐々木孝介監督(33)から「北嶋でダメなら仕方ない」と信頼されるエースは冷静だった。4回1死一塁から再び根本に右中間を割られたが、後続を断ち失点を1に食い止めた。「ロースコア(の展開)は頭に入っていた。自分が粘り強く投げていれば絶対勝機は来る」。その裏に1死一塁から女房役の児島が適時打を打つと、次打者の北嶋も続いて同点。8回には2死二塁から再び児島が貴重な3点目を挙げた。エースにはその1点の勝ち越しで十分だった。

ともに100球を超える投手戦。北嶋と根本。同じ苫小牧の高校だが会話はわずか。それでも無意識に「あいつ」と口にするほど頭の中に互いの存在があった。6回にチェンジアップで根本を見逃し三振に仕留めると1度ほえた後に、再び雄たけびを上げた。ライバルを相手に気力を最大限に振り絞った。

「次も勝利に導けるようにしっかり投げたいと思う」。試合後に北嶋が語った言葉には、別の思いもあった。「あいつの分も優勝したい」。優勝まであと2勝。背番号1には勝たなければならない理由がまた1つ増えた。【浅水友輝】

○死球で出塁し、決勝のホームを踏んだ駒大苫小牧の藤原主将 接戦で自分たちも成長できた。さらにもう1つ成長した姿で準決勝に臨みたい。