試合終了から20分ほどたっても、横浜翠陵・砂川康輔主将(3年)の目はぬれていた。「うまくいかずに終わってしまいました」と消え入るような声で言った。第1シードの相洋に挑んだが、5回コールド負け。目標のベスト32に1勝、届かなかった。自らは空振り三振2つ。「速い球に強気で振り抜こう」と、フルスイングした結果だ。

内野1面分しかないグラウンドで創意工夫を重ねてきた。打席の天井部分にネットを張り、隣接する丘に向かって打った。砂川は1日1500スイングが日課。多い日は2000を数えた。守備はサッカー部の練習場を拝借。長方形のグラウンドで、中堅と左翼、中堅と右翼といった具合に入れ替えながら内外野の連携を図った。2回1死一、二塁では、中飛でタッチアップを狙った二塁走者を、中堅・伊原が三塁好送球で阻止。成果を見せた。

学校方針で、コロナ自粛明けも対外試合はなかった。それでも、砂川は「実戦がなくても勝てる」と意気込んでいた。ぶつつけ本番で臨んだ2日前の初戦は、アレセイア湘南に8-3と快勝。自身もソロを放った。ただ、シード校の壁は高かった。「グラウンドを貸してくれたサッカー部に感謝です。(コールド負け寸前の5回2死から代打で)2年生の佐藤がヒットを打ってくれた。ベスト32を目指して欲しい」と後輩に託した。【古川真弥】