異例の「泥試合」の末に、大阪桐蔭が初戦を突破した。

5回から強い雨が降り始めて、4点リードの7回に雨脚が強くなった。

大阪桐蔭の松浦慶斗投手(3年)は試練を迎えた。球を制御できず、上ずる。四球も絡んで3安打を集中されて3点を失い、1点差に詰め寄られた。マウンド周辺は水が浮く状態。なおも2死二、三塁の窮地で空振り三振に仕留めた。

序盤は大阪桐蔭がド迫力の猛攻でセンバツ8強の東海大菅生(西東京)を圧倒した。1回2死二塁。4番の花田旭外野手(3年)が低めスライダーを強振し、バックスクリーンに甲子園初本塁打の先制2ランを放った。1点差に迫られた3回、先頭の藤原夏暉内野手(3年)が左翼ポール際にライナーでソロ本塁打を架け、前田健伸内野手(3年)もバックスクリーン右に豪快弾だ。3月のセンバツでは智弁学園(奈良)に屈辱の初戦敗退。悪夢を消し去る、鮮やかな攻撃だった。5回には主将の池田陵真外野手(3年)が左翼フェンス直撃の適時二塁打で加点した。終盤は東海大菅生が反撃。内野全面が水浸しのなか、激闘になった。

東海大菅生の攻撃中、8回表1死一、二塁、午前10時6分に中断。その後、同37分に両校主将と審判が本塁付近に現れた。審判から両主将に説明があり、その後、同38分、コールドが宣告された。アナウンスで「試合続行不能」の説明がなされた。

降雨コールドゲームは、第80回(98年)の専大北上(岩手)6-6如水館(広島)の引き分け再試合以来、23年ぶりとなった。

初戦を突破した大阪桐蔭の西谷浩一監督(51)は「今日はまずは、東海大菅生さんの(先発)桜井くん、(2番手)本田くん、うちの(先発)松浦、竹中の4人。投手だけではないですけど、その4人は大変だったと思いますが、全員ナイスピッチングだったと思います」と話した。

特に雨脚が強くなった7回については「6回まではなんとかと思いましたが、7回は両方厳しかった。なんとか粘ってということで、雨の練習もしてきたつもりでしたけど、タフなゲームになりました」と振り返った。

◆高校野球の試合成立 高校野球では正式試合となる回数を7回としている。サスペンデッドゲームは適用しない。

◆夏の大会のコールドゲーム 98年1回戦の如水館-専大北上が7回裏2死、6-6の同点のまま降雨コールドの引き分け再試合となって以来23年ぶり。コールドで決着したのは、93年2回戦の鹿児島商工3-0堀越(8回表無死一塁)以来。