「走れる履正社」で甲子園へ!! 甲子園春夏13回出場の履正社(大阪)は多田晃監督(43)の新体制で、今大会3試合連続2桁得点の大勝だ。12安打10得点の5回コールド完勝。進化の象徴は、プロ注目の光弘帆高内野手(3年)だ。

4点リードの2回1死。速球をとらえて痛烈なゴロで右前に運んだ。すかさず二盗を決め、得点圏へ。2点追加の口火を切った。多田監督も「光弘が塁に出ると得点力が上がる。気持ちも強い。守備も安定して攻守の中心選手」と信頼は厚い。3回はカーブをとらえて右前適時打。再び二塁を陥れた。阪神和田TAら、複数球団スカウトの前で2安打2盗塁。遊撃守備もそつなく、センスを示した。

高校通算14本塁打でパンチ力も兼ね備え、高校球界を代表する遊撃手として鳴らす。「肩に自信があります。守備から流れを作っていくタイプ。守備の方が自信がある」。ひと冬を越えて、体も一回り大きくなった。「つかんできたものがあります。打撃で逆方向に大きい当たりを強く打てるようになった」。インサイドアウトのスイング軌道を何度も確認。軸のブレも少なく、力強さが増した。不動の1番として、チームを引っ張っていく立場だ。

19年夏の甲子園優勝に導いた岡田龍生前監督(60)が東洋大姫路(兵庫)の指揮官へ。チームは過渡期だが、多田体制は「足攻め」で強化を図る。「今年は走れる子が多い。どんどん積極的に走らせている。オープン戦から積極的に盗塁していこうと言った」と指揮官。19年の夏は史上初めて0盗塁で優勝したが、伝統の強打に機動力を加える。この日はチーム4盗塁やクロスプレーでも生還。脚力が光った。春3戦5盗塁で率先する光弘は言う。「まず春の大阪1位、近畿優勝が目標です」。視線の先には19年夏以来の甲子園がある。名将が去っても、豪快な攻撃野球の迫力は増している。【酒井俊作】

 

▽巨人渡辺スカウト(光弘について)「肩も強いし、ショートで体も大きくなった。スイング力があるからヒットゾーンに飛ぶ。強い打球がいく。高校生では好選手です」

▽楽天愛敬アマスカウトグループマネージャー(光弘について)「パンチ力があり、スローイングもいい。打てるショートだし、とても期待を持てる」