圧倒的な女王の貫禄だった。クラーク仙台(宮城)が第16回全国高校女子硬式野球ユース大会(愛知、岐阜)で3連覇を果たした。決勝では今夏、選手権覇者の福知山成美(京都)に2-0で完封勝利。新チーム始動からわずか1カ月で「日本一の主将」になった伊藤結月主将(2年)は打率5割8分8厘をマーク。主将として、プレーヤーとしても優勝へと導いた。

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「やっぱり日本一っていいな」。伊藤は頂点からの景色をかみしめた。決勝の相手の福知山成美には、夏の選手権準々決勝で敗れていた。それから1カ月後。「絶対に負けられない」。再び、あの時の悔しさがこみ上げた。序盤に2点を先取。相手打線を散発3安打に抑え込み、リードを守り抜いた。圧巻だった。マウンドに歓喜の輪をつくった女王の笑顔が輝いた。

新チームが始動からわずか33日後。日本一の主将が誕生した。だが、この1カ月間は苦労の連続だった。当初は何でも自分で行動していた。それを見ていた渡辺崇監督から「キャプテンは人を動かさないといけない」と助言を受けた。

どうやったら周りを動かせるのかをひたすら考えた。そこで編み出したのが「名前を呼ぶこと」だった。「名前を呼んで、何をしてほしいのかも言うことで伝わりやすく、本人たちも動きやすそうでした」。これがうまくハマり、主将としての第1歩を踏み出した。

強豪校の主将。チームを大きく左右する大役に、もちろん不安もあった。さらに、上を目指すためには結果も残さなくてはいけない。それでも「自分がやらなくては周りがついてこないと思いました」と不安以上に覚悟が勝った。渡辺監督も「1年から試合にも出ていましたし、ミーティングでの発言が良かったので、ほぼ一択でした」と絶大な信頼のもとで託した。「期待以上です」。わずかな時間で着実に成長している伊藤を見て、目を細めた。

目指すは先輩たちも成し遂げられなかった三冠(ユース、選抜、選手権)。再び挑戦者として挑む。「まずは春に向け、もう1回、日本一を全員で目指して、人としても成長していきたいです」と力を込めた。冬を越え、さらに強くなった女王が花を咲かせる。【木村有優】

◆高校女子硬式野球メモ 全国高校女子硬式野球連盟への加盟校は61校(24年1月時点)。春の選抜大会、夏の選手権大会、そして2年生以下の新チームで争われるユース大会の3つ大きな大会がある。今回のユース大会は8月18日~27日にかけ、岐阜県および愛知県で開催され、60チームが参加した。同大会の最多優勝は神戸弘陵(兵庫)の5回。