「強打の三高」は今年も健在だ。昨夏甲子園準優勝の日大三(西東京)は、昨夏の西東京大会決勝で戦った東海大菅生と対戦し、高道海心(かいしん)内野手(3年)が2点を追う9回2死二、三塁から3ランを放ち試合をひっくり返した。土壇場の1発で劇的な逆転勝利を収め、2年連続の甲子園出場まであと2勝とした。
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2点差の9回2死、日大三が逆転3ランでゲームをひっくり返した。2死二、三塁。夏終了まであとアウト1つ。徳俵に足が乗る、そこからショートの166センチ、高道の目いっぱいの一振りがすべてを変えた。
「スライダーです。甘く来ました。ホームランは…、柵越えは、人生初です」。高3の人生初の弾道は、夢の放物線を描き、右翼席最前列へ。「球種は決めていませんでした。甘く来たボールを、打とうと決めていました」。
敗戦濃厚だったベンチは、高道の弾道が飛び出した瞬間、興奮の渦に。三塁から大鳥源太(3年)、二塁から福井理仁(2年)が跳びはねながら生還。猛暑、酷暑の中、はるかに上回るエネルギーを発しながら、高道を迎えて、歓喜は頂点に達した。
すると、さらにその数倍の熱量で三木有造監督(52)が叫び、選手を叱る。「お前ら、9回裏の守りがあるんだぞ!」。まったく喜んでいないどころか、歓喜の選手が引くぐらいの迫力だ。それでも、高校生の喜びは抑えきれない。やや三木監督の言葉に我に返ったようにしつつ、大興奮に浸った。
9回裏、粘る東海大菅生が無死から出塁するも、もうつかんだ流れは絶対に離さない。1死二塁から、高く跳ねた三ゴロを渡辺橙瑚(3年)が焦らず捕り、二塁走者をけん制し、矢の送球で2死。最後は2番打者を左飛。まさに死に体から、豪快にうっちゃるドラマチック逆転勝利で、2年連続甲子園へあと2勝に迫った。
三木監督は「あきらめないって言葉では簡単ですが、この代は行動でもあきらめないんです」。8回に致命的な4点目のきっかけになる失策の大鳥が、9回の先頭打者で中前打で出塁。「また、回ってくるんですよね、あそこで大鳥に」と、三木監督はこのチームの独特な生命力をかみしめていた。
日大三の宿敵、東海大菅生の若林監督最後の夏で、雌雄を決した。「これも何かの縁ですね」。三木監督の言葉には、少し温かみがあった。【井上真】

