連日熱戦を繰り広げた第108回全国高校野球選手権は22日、智弁和歌山が代表49校の頂点に立ち、幕を閉じた。今夏も聖地・甲子園では、さまざまなドラマがあった。東北6県版では、東北代表校の球児たちの「書ききれなかった話」を2回に渡って紹介する。【取材構成・高橋香奈】
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鶴岡東(山形)は最後まで望みは捨てなかった。7日第1試合の東海大甲府(山梨)戦。2-5で迎えた9回2死、打席には代打で小川蒼太主将(3年)が送られた。「本当に負けたくない、つなぐ」と強い思いを胸に臨んだ。だが、無念にも見逃し三振に倒れ、鶴岡東の夏は終わった。
代打に送ったのは、決して情けではない。佐藤俊監督(55)は「小川は長打力がある。最後の勝負だからという義理人情ではない。もし勝てば次の試合からまたチャンスがある。勝負に徹して、彼をあそこで抜てきしました」と明かした。
新チームになり、人生初の主将を担った。元々「核がいない」と評されていたチームだったが、ミーティングを重ねながら同じ方向を向いた。一冬越えて技術を磨いたのはもちろん、一番の持ち味は小川が中心となり作りあげた「チーム力」だった。
しかし、迎えた最後の夏。山形大会初戦の新庄東戦で、小川は太もも裏の肉離れを発症。「本当に悔しかった。けどチームが勝てればいい」と、サポート役に徹し2年ぶりの優勝へ導いた。
目標の8強、聖地1勝には届かなかった。それでも
「ここまで連れてきてもらって、最後の打席にも立たせてもらって、メンバー、チームのみんなには感謝しています」。涙ながらにグラウンドを後にした。
来年からは大学でも野球を続ける予定だ。「高校野球を通して、一つの目標に対して全力でやることというのは、本当に楽しかったですし、甲子園という舞台に立てたのは本当によかったと思います」。この経験を糧に前進していく。

