第108回全国高校野球選手権大会は、智弁和歌山の5年ぶり4度目の優勝で幕を閉じた。49代表が甲子園で連日熱闘を展開し、現場記者も精力的な取材を行った。「書ききれなかった話」も数多くあり、心に残った話題をお届けします。

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準優勝した健大高崎(群馬)には、青柳博文監督(54)から「陰の功労者。うちのチームの宝」と絶賛された選手がいた。控え捕手の小原快晴(3年)だ。野手兼任と合わせた8人が登板可能という台所を支え、レギュラー捕手の大岩翔斗(3年)を強烈にバックアップ。どんな境遇でも地道な努力を怠らず、与えられた役割をきっちり遂行する姿は、同校OB西武・是沢涼輔捕手(26)と重なって見えた。

小原にはもちろん悔しさもある。「やっぱり試合に出たい気持ちは十分ある」と認めながら、今春からは己の目標よりもチームの目標の方を優先に捉えてきた。試合があるたびに開いてきたバッテリーミーティングではホワイトボードにびっしりと課題を書き連ね、仲間たちとどうやったら勝てるか、どうやったら日本一になれるのかを考えた。仲間たちとの対話が、我を捨てることを選ばせた。

「自分の役割はピッチャーをしっかり作ってあげて、マウンドに送り出すこと。石垣の場合は試合前にしっかりブルペンで球数を投げてから試合に入りたいタイプですが、逆に北田はキャッチボールを長めにやって、ブルペンは少なめで試合に入るタイプ」。投手の性格や調整の仕方など細かいところにまで気を配り「受ける時もミットで音を出してあげたい。気持ちよくマウンドにいってもらいたいですから」とこだわりがある。

智弁和歌山との決勝戦では地方大会を含めて今夏初の出場機会を得た。「本当に一生懸命やってきた子。あの子だったら、つないでくれると思った」という青柳監督の期待を受け、1点を追う9回2死一塁で代打で登場。結果は空振り三振で最後の打者となった。「あの場面で1本打てなかったのが自分の弱さ」と自分を責めたが、仲間たちは彼の貢献度を知っているから誰も責める者はいなかった。同校初の準優勝を果たした健大高崎を縁の下で支えたのは、間違いなく小原だった。【平山連】