<明治神宮大会:仙台育英4-1浦和学院>◇18日◇高校の部決勝◇神宮

 仙台育英(宮城)が浦和学院(埼玉)を破り、2年ぶり2度目の優勝を飾った。3戦連投のエース右腕佐藤世那(2年)が9回7安打1失点完投。打線も平沢大河内野手(2年)の2ランなど10安打4点と、投打で強さを見せつけた。これで東北地区に来春センバツの神宮枠がもたらされ、3校以上の出場が決まった。

 エース佐藤世那が全3試合25イニングを守り抜き、日本一を引き寄せた。連投の疲れが響いて直球は威力が落ち、決め球のフォークも研究されていた。それでも「自分を信じて投げることが出来た」。カーブとスライダーを多めにし、浦和学院打線に的を絞らせなかった。捕手の郡司裕也(2年)は「1ゲームずつ成長してきた」。真後ろの中堅を守る青木玲磨(2年)も「マウンドのセナがでっかく見えた」とたたえた。

 夏までは「ちょっとしんどいことがあると『足が痛い』などと言って逃げていた」と佐々木順一朗監督(55)は振り返る。そんな佐藤世に刺激を与えたのが、同じピッチャーとして今年8月に軟式で全国制覇した弟令央(れお=秀光中3年)の存在だった。「半信半疑」だった日本一が「努力をすれば出来る」と現実的な目標に変わった。「意思のないボールばかり投げていたけど、今は技術より気持ちの問題だと思っている」。秋16試合中14試合に先発し13完投。堂々たる内容で弟に並んだ。

 この秋の戦いで、エースだけでなくチームも大きく変化した。きっかけの1つは地区大会の聖和学園戦で敗れたこと。「それまでは勝てるとどこかで思っていたが、あれで絶対負けたくない、という気持ちが生まれた」と佐々木柊野主将(2年)は言う。また今月2日に佐々木柊主将が左足複雑骨折でチームを離れたことも大きかった。「キャプテンがいない分、1人1人、みんながやらないと」と郡司。もともと投打にポテンシャルの高い選手が集まるチーム。それに頼らず、必死さを貫いたことが日本一につながった。

 来春のセンバツでは追われる立場になる。佐々木監督は「勘違いしないようにして冬を乗り越えたい」と話し、佐藤世以外の投手陣と守備の整備を課題に挙げた。佐藤世は「日本一は忘れて、センバツで日本一になりたい」と宣言した。史上初の東北勢甲子園制覇へ。勝負はこれからだ。【高場泉穂】

 ◆東北地区の来春センバツ出場校の展望

 仙台育英が優勝したことで、東北地区が神宮大会枠を獲得。来春センバツでは通常2枠の一般枠と合わせ、3校出場が確定した。東北大会優勝の仙台育英と準優勝の大曲工(秋田)は当確。残り1枠の候補は、準決勝で仙台育英に敗れた八戸学院光星(青森)か、同じく大曲工に敗れた鶴岡東(山形)が有力だ。また、21世紀枠に東北6県の代表推薦校が選ばれれば4校出場の可能性もある。過去に4校出場は04年、12年の2度。13年は神宮枠、東北絆枠、21世紀枠を合わせ、過去最多の5校が出場した。