もう出た1号、ゴメスは燃えているんだろうか。阪神マウロ・ゴメス内野手(30)が18日、無観客で行われたヤクルトとの練習試合で15年初「アーチ」をかけた。左脇腹の張りから実戦復帰3戦目で、詰まりながらもパワーで神宮の左翼外野席に運んだ。和田豊監督(52)と誓い合ったシーズン40発の期待をいやでも高める力と技のホームラン打法。満員の観衆にも見せてくれ~。
ヤクルト左翼手の荒木は戸惑いを隠せずにいた。フラフラと上がった飛球が落ちてこない。フェンスに背中をへばりつかせたまま、ポール際に移動。白球はその2メートルほど頭上を通過し、無人の左翼席最前列にストンと落ちた。
無観客試合のため、拍手も歓声も鳴り物もない。打球が弾む音だけが静かに響き、ゴメスは照れ笑いでダイヤモンドを回った。
ゴメス ラッキーなことにあそこまで飛んでくれたね。打席の中での感覚は悪くない。体は100%に近い状態になっているよ。
左脇腹の張りから実戦復帰して3戦目。2回先頭で右腕石山の内角135キロシュートに差し込まれた分を、スイングスピードで補った。体の内側からバットを出すから、思ったほど打球が切れない。実戦6試合目で本人もビックリの15年1号だ。いくら両翼97・5メートルの狭い神宮球場とはいえ、確実に打ち取られた当たりがスタンドイン(推定飛距離100メートル)。図らずも怪力で復調を証明する形となり、指揮官も納得顔だ。
和田監督 あれが切れない。いいバットの出方をしているんじゃないかな。スピードがないと詰まってしまったりするんだけど少しずつ、キレが出ている。
今春は母国ドミニカ共和国でパスポートを盗まれ、来日が大幅に遅れた。2月7日に沖縄入りしてからの数日間はチームメートからいじられ続け、「スミマセン、スミマセン」と毎日のように日本語で謝罪したという。ドタバタ劇を笑顔で水に流してくれた仲間への感謝はもちろん、シーズンの結果で表現するつもりだ。
沖縄キャンプ中には和田監督から「35本打てよ」と指令を受け、「いや、40本打ちます!」と切り返した。この日のような「打ち損じ弾」をシーズンでもお見舞いできれば、26発だった昨季からの「プラス14」も夢ではない。
開幕まで残り4試合。全試合に出場すれば、実戦10試合を経てのシーズンインとなる。昨春は誕生直後の長女が体調不良となって来日が遅れ、右膝の違和感も重なって実戦8試合をノーアーチで開幕を迎えていた。1年前を思い返せば、過度の心配は必要ない。
「今は結果は意識していない。しっかりボールを見られて、タイミングを取れていればいいんだ」。景気づけの1発を放ち、本領発揮の季節が近づいてきた。【佐井陽介】



