エースの仕事だ。楽天則本昂大投手(24)が中日打線を散発3安打に抑え、今季初の完封勝利を挙げた。前回登板後にフォームを修正し、1四球と抜群の安定感。完璧な投球でチームの交流戦成績を10勝8敗とした。大久保博元監督(48)は「選手も1000点、成績も1000点!」と大絶賛。この勢いを19日から再開のリーグ戦につなげる。

 試合開始からわずか2時間24分後。楽天則本は、27個目のアウトを確認すると胸の前で両手をポンとたたいた。涼しい顔で。待望の今季初完封を今季球団最速時間で達成。「ようやくテンポのいい、自分らしい投球ができた」と振り返る表情には1粒の汗もない。105球での完封勝利は、14年5月22日の109球を下回る自己最少記録。「省エネ」で強竜打線を手玉に取った。

 また1つ、進化を遂げた。今季は7回以上を投げた7試合全てで120球超え。疲労が蓄積し、前回登板した7日の広島戦は6回3失点と打ち込まれた。「制球もテンポも悪かった」との反省を基に、登板後は普段のキャッチボールもブルペンで行った。マウンドの傾斜を使った立ち投げで、本来のフォームを取り戻した。1週間で全てを立て直す、高い修正能力。

 この日はストライクを先行させ、力強い速球で積極的に内角を突いた。唯一得点圏に走者を背負った7回は、2死三塁から和田を151キロの速球で空振り三振に仕留めた。「相手が初球から打ってきたのでいい感じでいけました」と中日打線の早打ちにも助けられ、会心の投球で交流戦最終戦を締めた。

 フル稼働の救援陣に休養を与えた、チームにとっても大きな1勝。大久保監督は「今年で一番安心して見ていられたよ。これがエースのピッチング」と褒めちぎった。甲子園の3連敗で始まった交流戦も、終わってみれば貯金2。「一時はどうなるかと思ったけど、方向性が見えてきたよ」と力強い。交流戦のチーム防御率は12球団中1位の2・47。鉄壁のディフェンス力を勝利につなげた。

 最高の形で弾みをつけて、リーグ戦再開を迎える。則本は交流戦前、1つの決意を固めていた。「そろそろどこも疲れが出てくるころ。本当に大切な場面で中継ぎ陣がフル回転できるように、先発の中心としてみんなを助けたい」。エースの自覚を投球で体現。この1勝が、後半戦に向けた起爆剤となる。【松本岳志】