ツルっと大勝で、連敗脱出締めだ。「日本生命セ・パ交流戦」直前の4連敗は何だったんだという今季最多11得点で日本ハムを下し、セ・リーグ唯一の勝ち越しフィニッシュ。ゴメス、マートンが10打数無安打など不安材料もあるが、鶴岡一成捕手(38)がプロ20年目で最多の5打点! 首位巨人まで2ゲーム差の3位で気分よく、逆襲のリーグ戦再開を迎えよう。
今季最大の猛打ショーもすべては執念がつまった1本のヒットからだった。2回、今成が選び、上本がつないだ。1死二、三塁のチャンス。打席には鶴岡だ。バックスクリーンに映し出された打率は「・116」。その数字に虎党の声援も自然と控えめになった。
だが、バットを短く持った鶴岡は有原の150キロの真っすぐに向かっていった。追い込まれた後、ファウルで粘った。そして8球目。最後は152キロを右翼線にはじき返した。
鶴岡 僕も一応、バット持っているんで。しっかり振り抜こうと思いました。今まで粘れるところで、粘れていなかった。なかなか期待に応えることができなかったから…。
試合後は照れ隠しで冗談を交えたが「ファウルマシン」の異名を取る鶴岡らしい粘りが、ここまでは出ていなかった。スクイズも想定された場面で打たせてくれたベンチの期待に応えたい一心だった。この先制2点打で流れが決まった。
4回の今季最多1イニング7得点も下位打線からだった。鶴岡の四球、相手失策が絡み、鳥谷がつなぐ。ここで指揮官は柴田に代え早くも代打新井を送った。
和田監督 1点返されて流れがいきそうなところ。勝負どころだと思った。
これが的中して2点を追加。最後はこの回、2打席目の鶴岡が満塁の走者を一掃する適時二塁打でケリをつけた。第1ストライクに食らいついていった各打者。勝負を仕掛けたベンチ。4連敗中とは違い、すべてが“前のめり”だった。
5番に戻ったマートンは2度の得点機で外野にすら飛ばせなかった。4回、岩田の送りバントは明らかにミスで併殺をとられるところだった。相手に助けられた部分もある。ただ、苦しんできた猛虎打線がゴメス、マートンのヒットなしで2ケタ得点を奪えた。
前日の練習前、スタメンが確約されていない選手たちに和田監督が言った。
「ここにいるお前たちがやるんだ。ミスをしても代えないぞ。外国人選手が調子が悪い時に試合に出る、お前たちが頑張らないといけないんだ」
その言葉が現実となった。鶴岡はプロ20年目で初めて5打点。交流戦最後の一戦で脇役たちの執念が1つの答えを出した。
和田監督 今日は積極的に打っていくことができた。連敗のままセ・リーグに入るのと、止めて入るのとでは違う。交流戦は何とか粘れたかな。
またも崖っぷちで踏みとどまった。ゴメス、マートンが打たなければ苦しい戦いは続くだろう。ただ猛虎はこんな戦いもできる。そう証明した勝利だった。【鈴木忠平】
▼阪神の1試合11得点は、3月29日中日戦(京セラドーム大阪)10点を超え今季最多。4回に挙げた1イニング7得点は、4月26日広島戦(マツダスタジアム)6回の6点を上回り、こちらも今季最多となった。
▼阪神が前年14年ドラフトで1位指名した有原を打ち勝利。阪神がドラフトで1回目入札した新人投手と対戦したのは4人目。初対戦では、VS近藤真一(先発)=87年8月23日中日戦0●2、VS川島堅(救援)=88年9月16日広島戦8○5、VS大瀬良大地(先発)=14年4月16日広島戦1●3。近藤、大瀬良には白星を献上し、川島は勝敗なしだった。初対戦で黒星をつけさせたのは初めてのケースとなった。



