次の階は首位と貯金のフロアで~す! エレベーターいらずの階段駆け上がり助っ人阪神マット・マートン外野手(33)が2打点で快勝に直行した。遠征先の都内ホテルで32階フロアまで階段で上りきったゴメスとのコンビで1回先制打と3回犠飛の2階建て攻撃。勝率を5割に戻して今日、前半戦ラストゲームに勝てばノー文句の首位ターンだ。

 ほどよく残る下半身の疲労を感じつつ、マートンはどっしりと構えた。地をはう打球が広く空いた三遊間を進む。1回2死一、二塁の先制機。前でチャンスを広げた「階段コンビ」の相方ゴメスに続いた。

 「ランナーが塁に出たら(相手に)プレッシャーがかかる。いいスイングをしようと、それだけを考えて打席に入ったよ」

 打球は瞬く間に左翼へ到達し、明るさの残る甲子園が沸いた。先制の適時打で気分よくスタートを切ると、3回も目の前でゴメスが四球を選んでいた。1死満塁の絶好機に左翼への犠飛で応える。昨年猛威を振るった4、5番のコンビは、あうんの呼吸で勝率5割復帰への軌道に乗せた。

 「パピー(ゴメス)はまだバタバタしているところ。それが落ち着いたら、オールスター休みにでもお祝いをしようと思っているんだ」

 今の楽しみは相方ゴメスファミリーに今月6日加わった、次女アイミーちゃんの誕生祝いだ。マートンは生まれる前からプレゼントも用意し、準備万端整う。12日、東京ドームでの巨人戦で勝利した後、2人で約900段の階段をわずか12分間で駆けあがった。都内のチーム宿舎が停電に見舞われ、エレベーターがストップ。2人は復旧を待たず、関西に残るゴメスの家族を思い夢中で32階フロアの自室を目指した。そんな2人の絆は大事な試合でも際立った。

 交流戦終了時に2割4分3厘まで落ち込んだマートンの打率は、10試合連続安打で2割7分9厘と「上り階段」。交流戦期間中には不振で頭の整理がつかず、クラブハウスで通訳相手に英語をまくし立てたこともあった。心配する周囲もただ、見守るしかできなかったという。そんな時間も今となっては財産だ。「交流戦の後に何日か空いたことで、基本に返ろうと有効に時間が使えたんだ。自分を取り戻してからいい状態が続いているよ」。それを証明するように、お立ち台では隣の能見に明るい日本語で話しかけた。

 「(これまで援護できず)ゴメンナサイ。ノウミサン。ゴメンナサイ。(今日の能見は)スゴイネ」

 今日15日は貯金ターンと首位奪取がかかる。それでもマートンは自然体だ。

 「結果的に勝てればいいけれど、負けたからといって優勝できないわけじゃない。自分はベストを尽くすだけなんだ」

 前半戦最後の戦いも、冷静に。完全復活のマートンは、威風堂々と5番を勤め上げる。【松本航】

 ▼マートンは7月3日DeNA戦から10試合連続安打。リーグ戦が再開した6月20日ヤクルト戦以来、打率3割9分7厘(73打数29安打)と好成績。交流戦終了時の2割4分3厘から上昇してきた。とりわけリーグ戦再開後の甲子園では、4割4分4厘(27打数12安打)と絶好調。交流戦終了までの2割3分8厘から一気にはね上がった。

 ▼阪神は41勝41敗1分けで勝率5割に復帰し、首位巨人(42勝42敗1分け)と同率となった。セ・リーグの規定により、14日時点では勝利数の多い巨人が1位。今日15日に阪神が勝てば、無条件で前半戦首位が確定する。阪神が勝ったとすると、勝率5割6厘0毛。巨人が勝っても5割5厘8毛で、阪神が上回るため。阪神が前半戦を首位で折り返せば、08年以来7年ぶり。勝率5割以上なら3年連続となる。