もがき苦しむ男が放った決死の一打だった。2回2死一塁で、ソフトバンク今宮健太内野手(24)が2ボールからの外角ストレートを強振。打球は右翼手の頭上を越えた。先制のタイムリー三塁打。「打てない時も試合に使ってもらっている。打席を与えてもらっている以上は、挽回(ばんかい)していかないと」。24歳の意地がボールに乗り移った。

 打率は2割ラインで低空飛行が続く。現状を突破しようと、この日はデーゲームにもかかわらず、アーリーワークの特打を敢行。午前9時からバットを振り、汗を流した。取り組んでいることは、体のブレをなくすことだ。「体が伸び上がってしまう。自分の癖でもある。勝手に体が回転するのが理想。自然に回れば、いい打球が飛ぶ」。7回には左前打を放ち、13試合ぶりにマルチ安打を刻んだ。

 「僕の見方は変わらない。努力の姿は見ている。それが何よりも大事。打撃が良ければ、日本一のショートになれる」と工藤監督は言った。結果を残せていないが、若き遊撃手の将来性をみじんも疑っていない。今宮の思いはしっかりと指揮官の胸に届いている。悪戦苦闘が生んだ決勝打。そんなドラマも織り交ぜ、「鷹の祭典」は11連勝になった。【田口真一郎】