オリックス2年目右腕・東明大貴投手(26)が初の10勝をマークした。しかも初完投初完封で決めた。強打の西武打線を2安打に抑え、三塁を踏ませなかった。「2桁勝つのと9勝では全然違う。野手のプレーに助けられた。真っすぐが良かった。9回が一番いい投げ方ができたと思う」。9回にはこの日最速の148キロをマーク。200安打目前の秋山も無安打に封じた。

 昨年5勝からの飛躍。制球力の向上が大きな要因だ。「去年はストライクが取れず、困ったら真っすぐしかなかった」。昨秋キャンプから変化球の精度アップに取り組んだ。投げ込みで下半身主導のフォームが安定。今ではフォークでカウントも稼げる。

 岐阜・富田高時代は「最速130キロくらい」という無名の存在で、甲子園は遠かった。桐蔭横浜大も一般入試で受験。野球部に入ったが、レベルの違いにショックを受けた。「ついていくのが必死だった」。それでも急成長を遂げ、東海大・菅野(現巨人)との投げ合いを制したこともある。「菅野はスーパー。自分と個人的な能力が全然違う」と今も謙遜する。それでも10勝目で、現時点では菅野の9勝を1歩リードした。

 ほんわかとした笑顔がトレードマークで、周囲の空気を和ませる。「物欲がないんです」と、入団時の契約金は貯金。この2桁勝利の自分への「ご褒美」も考えていない。「常に不安と戦いながらやっている。プロで野球をやっている以上、自信を持って投げることはないと思う」といたって謙虚。最下位に低迷するチームにあって、来季へ続く希望の光だ。【大池和幸】