ヤクルトが勝率と勝利数で阪神に並び、首位に浮上した。山田哲人内野手(23)が、有名代理人スコット・ボラス氏(62)の見守る前で、4回に貴重な追加点となる34号ソロをマークした。シーズン34本は、球団の日本人右打者では1989年(平元)の池山(現2軍野手総合コーチ)に並ぶ最多本塁打となった。個人的なコメントは避けることで有名なボラス氏だが、近い関係者には称賛の声を漏らした。若きスターが01年以来14年ぶりリーグ優勝へと導く。

 ヤクルト山田の一撃が、ボラス氏をうならせた。1点リードの4回先頭。DeNA石田の甘く入ったスライダーを捉え、左翼席にぶち込んだ。「回の先頭だったし、出塁してチャンスメークすることだけを考えていました。変化球に自然とうまく対応することができました」と淡々と話した。

 トリプルスリーをほぼ手中に収め、なお勝負強さを見せつける1発を放った23歳。バックネット裏上部のテレビ局ブース席で観戦した同氏は、近い関係者に絶賛のコメントを残した。

 ボラス氏 彼はファイブツールプレーヤー(ミート、パワー、走塁、守備、送球の5項目が高水準の実力を持つ選手)。まだ若いから、いろんな選択肢があるけど、本当にいい選手。

 山田が尊敬する元ヤクルトでジャイアンツの青木や、マーリンズ・イチローら数々のスター選手を見てきた代理人が、トップ級の評価。「日本人選手はメジャーでもコンパクトヒッターやリードオフマンが高い出塁率を誇る」と太鼓判。だが、現時点で山田にメジャー志向はない。「ボラスさんが来ていたことはニュースとかで知っていました。でも別に何も思わないです」と人ごとだった。

 心に秘めるモットーがある。

 山田 小さいころは、両親に家を買ってあげるためにとか、地元の友人に格好いいところを見せたいとか、そういう気持ちでやっていた。高校のころから周囲への感謝の気持ちが湧いてきた。常に誰かのために、と思ってやっている。

 今は、リーグ優勝のことしか頭にない。チームのために打つ-。それだけだ。この日の1発が、球団の日本人右打者ではトップに並ぶ34号となったが、「特にないです」とそっけなかった。

 人一倍の責任感が山田を高みへ押し上げる。今春キャンプ中に、選手会長の森岡から「お前らにチームを引っ張っていってもらいたい」と、川端とともに若きリーダーに指名された。周囲の期待に応え、チームを8月3日以来の首位に導いた。14年ぶりの頂点まで、世界も認める「ヤマダ」が自己犠牲の精神で突き進む。【栗田尚樹】