代打の切り札が気を吐いた。1-2で迎えた9回1死三塁、阪神関本賢太郎内野手(37)が代打に立った。「何とかしたいと思った」。カウント1-2からの4球目、外角低めに落ちた巨人沢村のフォークに、腕を伸ばして食らいついた。

 ライナー性の打球はジャンプした巨人二塁片岡のグラブの上を越えていった。その瞬間、関本は右の拳を振り上げた。敵地の東京ドームは虎党の大歓声に包まれる。土壇場で勝負師が見せた。9月8日に右背筋痛で復帰して以降、代打起用は9度。8打数5安打1四球2打点と驚異の成績を残している。関本は「それが仕事なので」と淡々と語った。

 チームに同行していた中村GMの急死の訃報は、試合に臨んでいる選手には伝えられていなかった。劣勢で試合が進む中も、最後まで諦めなかった。背中を追いかける2位巨人へ、意地を見せつける一時同点の適時打だ。

 その直後にサヨナラ打を許し、東京ドームで2連敗。苦しいチーム状況は続く。しかし、関本には諦めの表情は一切、なかった。まだ諦めない-。ナインの気持ちも同じだ。志半ばで逝った中村GMの思いを胸に戦う。【宮崎えり子】