阪神が弔い星をささげられず、4連敗で勝率5割に戻ってしまった。23日に66歳で急死した中村勝広GMを悼み、喪章を袖につけて臨んだ中日戦。先発秋山が2回途中にKOされた。和田豊監督(53)はこの回、3番手二神の激励でマウンドに向かうも、直後に押し出し四球を与えるちぐはぐさ。執念の反撃も届かず、上位2チームからまた離された。

 和田監督は憔悴(しょうすい)していた。喪章をつけて戦い、敗れた三塁側ベンチ裏。悔しさをかみしめ、懸命に言葉をつないだ。

 和田監督 (中村GMのためにも)もちろん選手も勝ちたい気持ちでやっている。それでも勝てなかった。

 奇跡の逆転優勝へ、そして前日急逝した中村GMへの弔い勝利を誓い、采配はいつになく前のめりだった。登録即先発の秋山が2回に2点を失うと、迷わず島本にスイッチ。島本が左2人との対戦を終えると、右のルナには二神。先発の見切りが今季最短なら、2イニングで3人の起用も今季初だった。

 二神がルナに押し出し四球を与えると、監督がベンチを出て二神のもとに向かった。今季マウンドに足を運ぶのは4度目だが、いずれも最終盤で呉昇桓への激励。開始間もない2回、若手投手にカツを入れるのは初めてだった。

 和田監督 それは本人に聞いてくれ!

 だが怒気を含んだ指揮官の言葉通り、阪神ナインは踊らなかった。2回の秋山はこの日がナゴヤドームでの「引退試合」となった和田と谷繁のヒットからの撃沈。二神は痛恨の連続押し出し四球で合計4点を失った。中村GMの訃報に言葉を失った選手も勝ちたい思いは強かった。でもそれが力み、重圧につながってしまったのか。打線も中日を上回る2桁12安打を放ちながら2点しか奪えず、14残塁の拙攻。みんなの気合が空転してしまった。

 和田監督 6、7、8回だけじゃなく、前半にもチャンスがあった。そこで1本が出ないな…。早い回に1点でも返せていれば、展開も違ったと思うけど…。

 勝負の12連戦のはずが、1勝6敗で今季3度目の4連敗。貯金も7月25日以来2カ月ぶりの0となった。明日26日にも10年ぶり優勝が消える。今日25日からは2・5ゲーム差と引き離せない4位広島と直接対決3連戦。今季は7勝12敗2分けと苦手にしており、3位も危うい崖っぷちだ。

 和田監督 明日もゲームがある。GMも(天国で)見てくれていてると思うし、最後までそういう気持ちで全力を尽くす。悪い流れを明日、何としても断ち切りたい。もう、それだけ!

 みんなを鼓舞するように言った。このまま終戦なんてできない。【松井清員】

 ▼阪神は最短で明日26日に優勝が消滅する。25日から広島戦に●●の場合、他球団の結果と無関係に決定。このとき阪神は27日以降の5試合に全勝しても、72勝69敗2分けで最終勝率5割1分1厘。1位ヤクルトと2位巨人は直接対決を3試合残しており、両球団がそろって阪神を下回るケースがないため。

 ▼阪神は67勝67敗2分けとなり、勝率5割に逆戻り。これは7月25日DeNA戦(甲子園)に敗れ、44勝44敗1分けとなって以来、61日ぶり。