ソフトバンクが異例の「3時間ゲーム」で練習を再開した。19日にヤフオクドームで紅白戦(7回制)を行い、バントや進塁打などの細かいプレーを入念にチェックした。工藤公康監督(52)は「相手のことばかり知っても、自分のことを知らないと、その通りにならない」と力説。孫子の兵法で、24日開幕の日本シリーズに挑む。
工藤監督は敵将の先制攻撃に、乗らなかった。ヤクルト真中監督が予告先発に応じない姿勢を新聞紙上で、明らかにした。どう応じるのか?
「私は監督会議で話します。みんなの前で言ったら、書くでしょ?」
日本シリーズの開幕前日に監督会議が開かれる。そこで自らの意思を伝える考えだ。新人監督の対決に、トリプルスリー対決。話題性は十分だが、工藤監督は努めて冷静だった。
「シリーズを知り尽くしているわけじゃない。知っているから、うまくいくとも限らない。やってみないと分からない。今、考えないといけないのは、自分たちのチームのことだ」
14度の日本シリーズ出場を誇るが、自ら、その経歴を封印した。徹底したデータ分析で短期決戦の「鬼」とも称されるが、そこを強調することもなかった。
「相手を知るのは大事だが、自分の何が通用するのか知るのも大事。相手ばかり知っても、自分のことを知らないと、その通りにはならない」
孫子の兵法に、似た一文がある。「彼を知り己を知れば、百戦して、あやうからず」。データ分析も進めつつ、自らを知る作業を重要視した。
その方針はすぐに実践された。練習再開のこの日に、7回制の紅白戦を行った。アウトになった打者をそのまま走者に残す場面が見られ、何度もバントや進塁打などの細かいプレーをチェックした。入念に時間をかけたため、紅白戦は異例の3時間ゲームになった。工藤監督は言う。
「実戦で失敗したほうが自覚を持ってやれる。セカンドリードをどれぐらい取ればいいのか、とか確認できるからね。すごくいいことなんだ」
相手に踊らされることなく、自分の足元をしっかりと見つめる。決戦を前に、「工藤の考え」を示した。【田口真一郎】



