『ド・ドドンパ』っと、打者がのけ反った。現役では山梨県唯一のプロ野球選手・楽天ドラフト4位の渡辺佑樹投手(22=横浜商大)が、『戦慄(せんりつ)のスライダー』で見逃し三振に沈めた。17日、韓国サムスンとの練習試合に2番手で登板。1死走者なしから左打者を3球で追い込むと『トバシテミーナ』と言わんばかりの内角スライダー。打者に腰を引かすほどの軌道で『テンテコマイ』にした。「外を狙ったんですけど、抜けて結果オーライですね」と笑った。

 富士吉田市出身。自宅から車で5分の距離に富士急ハイランドがある。絶叫系のマシンは苦手だが最大落下角度121度のコースター『高飛車』のごとく鋭く落ちるスライダーは、相手に絶望を与える「富士急ハイランドボール」。初実戦で披露し、1イニングを1安打無失点と結果を残した。梨田監督からも「いいボールがあった」と評価された。憧れはソフトバンク和田。「どんどんふるいにかけられる中で、1軍に残れるようにアピールしたい」。球界の『FUJIYAMA』を目標に“ほうとう”を磨く。【栗田尚樹】

 ◆主な山梨県出身のプロ野球選手 甲府商から66年に巨人へ入団した堀内恒夫が有名。1年目にいきなり開幕13連勝を記録して新人王と防御率のタイトルを獲得。通算203勝を挙げ、野球殿堂入りした。通算228セーブの小林雅英は都留から日体大、東京ガスを経て99年ロッテ入団。高校は法政二だったが、日本人初の大リーガーとなった村上雅則も山梨県出身だ。吉田からは「ポパイ」の愛称で親しまれた長田幸雄(大洋)や西武の監督を務めた田辺徳雄、日本ハムで活躍した井出竜也らがプロ入りしている。