修正と粘りで、久々の白星を阪神小野泰己投手(24)がつかんだ。2回に自軍から6点の援護をもらう展開も、小野自身は2度の先頭打者への四球や、3連打、暴投…。ただ要所で併殺や三振を奪って粘った。苦しみながらも6回5安打3失点。5月5日中日戦(甲子園)以来、約2カ月ぶりの4勝目を挙げた。

 「悪いなかでも勝てたのは良かった。勢いに乗れて良かった。ただ点差があるなかで、安打はともかく四球を出したのは反省です」

 反省ばかりが口をつくのはいつもの小野。しかし投じた102球には成長がちりばめられていた。勝てない期間の、崩れだしたら止められない姿はない。中盤は力を抜くように軸を変化球に。5回には「直球を狙われている感じがした」と、山田哲に投じた2球から、4番バレンティン、5番雄平の初球まで4球連続でカーブを投げて打ち取った。変化球主体に切り替え「力みもとれたのかな」と脱力にも成功。4回から6回までは安打を許さず、主導権を渡さなかった。

 登板までの調整では2度のブルペン入りや、平地での投球練習など最善の調整を探ってきた。もがいて得た白星に「変化球、カーブで打ち取れたのはすごく大きかった。(粘りは)ひとつ自分のなかでいいものが出せたと思います」と静かにうなずいた。

 お立ち台では「広島に勝てるように、追いつけるように頑張りたいと思います」と誓った。チームとともに7月戦線の逆襲を狙う。【池本泰尚】