今季、全日本大学選手権優勝の東北福祉大は8-0の7回コールドで東北大とのリーグ開幕戦を制し、2季連続70度目の優勝に向けて好発進した。リーグ出場3戦目の9番・楠本晃希内野手(2年=花咲徳栄)がリーグ初打点初本塁打の2安打5打点と活躍。先制二塁打とコールド勝ちを決定づける3点本塁打を放ち、今春卒業した兄でDeNAの楠本泰史外野手(23)に続くプロを目指していく。

楠本晃が今春卒業した3歳年上の兄泰史に続く「楠本旋風」を巻き起こした。2回表2死一、二塁、先制の右中間二塁打でリーグ初打点を挙げた。最終打席の7回2死一、二塁で右越え3ランを放ち、コールド勝ちに持ち込んだ。大学初アーチの楠本晃は「インコースの真っすぐに反応できました。上がりすぎたかなと思いましたが一塁到達前に分かりました」と平然とダイヤモンドを駆け抜けた。

プロ入りした泰史の背中を追う。兄弟そろって先発出場した昨秋の第5節、東北学院大1戦目以来2度目のリーグ先発で結果を出した。大塚光二監督(50)も「与えられたチャンスでしっかりと結果を出した。これをきっかけにしてチームの中心になってほしい」と期待した。

チームが大学日本一になった今春は体調を崩し、メンバー落ちする悔しさを味わった。横浜の実家に帰省した7月は泰史が出場したプロ野球を観戦し、刺激を受けた。その兄からは「打てなくても気持ちを切り替え、自信を持って打席に立て」とLINE(ライン=無料携帯アプリ)で激励された。細かいことに動じない強気の性格。リーグ戦では「楠本の弟」といわれることを力に変える。楠本晃は「多少プレッシャーはありますが、印象に残るプレーをしたい」と前向きだ。

高校、大学の先輩になる泰史とはリトルシニア時代から一緒で、どこまでもプロ入りした兄の背中を追う。リーグ戦で泰史は17年春の最優秀選手(MVP)を筆頭に数々の個人タイトルを残した。兄に憧れ、花咲徳栄時代に左打者になった楠本晃は「いい人をまねをすればうまくなる。いい人が身近にいる。高校の同期2人もプロ入りした。プロになるためにこの大学にきた」とさらなる高みに駆け上がる。【佐々木雄高】

◆楠本晃希(くすもと・こうき)1998年(平10)11月25日、大阪・吹田市生まれ。横浜市に転居し、山内小3年から元石川サンダーボルトで野球を始める。中学では青葉緑東シニアに所属。花咲徳栄では1年秋からベンチ入り。2年夏からレギュラーで、同夏から3季連続甲子園出場。東北福祉大では昨秋、リーグデビュー。家族は両親、兄。右投げ左打ち。180センチ、76キロ。血液型A。