楽天辰己涼介外野手が人生初のサヨナラ打に喜びを爆発させた。チームメートの祝福でびしょぬれになりながら「最高でした。勝つっていいなと思いました」と笑った。

1点差に迫った9回1死満塁でマウンドにはソフトバンクの守護神森。普段とは違い、左中間方向への追い風が吹いていた。「引っ張り込もうとしたら風で押し戻されるし、引っかけてゲッツーもある。球が強い投手なので、その力を利用して左中間方向に」。冷静に状況を把握し、中越え二塁打でドラマを完結させた。

4月22日にいったん2軍行きとなった直後、「これって、いつから再登録可能になるんですか?」。強烈な負けん気をのぞかせつつ、やるべきことを整理した。浅くなっていたトップの位置を修正。懐が深くなり、自分のポイントで打ち返す打球に本来の力強さが戻ってきた。大学まで圧倒的なスピードで全て解決した走塁面でも基礎から知識を吸収。さらに「2軍に落ちるまでは自分の成績を追い求めているところがあった。何よりもチームの勝利」。居場所を確立しようと躍起になり、空回りした自分を戒める時間にもなった。

初めて本拠地のお立ち台にも上がり、10万楽天ポイントをゲット。「インドア派なので、物欲とかはあまり…。とりあえず10回活躍して100万ポイント、いずれは1000万ポイントくらいためたいですね」。口ぶりも辰己らしくなってきた。【亀山泰宏】