毎週火曜日の企画、第4週は阪神2軍で奮闘する選手にスポットを当てる「鳴尾浜便り」です。今回はドラフト6位で入団した新人の湯浅京己投手(19=BC富山)。1年目からローテーションを任されるなど登板4試合で1勝2敗、防御率4・00と首位快走に貢献中です。三重・尾鷲市出身。1軍マウンドを目指す若虎右腕の素顔に迫ります。【取材・構成=奥田隼人】

ルーキーながら、湯浅は2軍先発ローテの一角を担っている。3月27日のウエスタン・リーグ、オリックス戦で初登板すると、4月23日の同ソフトバンク戦は5回1失点で初先発初勝利。4試合(先発は3試合)に登板して1勝2敗、防御率4・00。先発3試合はそれぞれ5回を1、2、3失点と試合をつくっている。

「1軍経験のある選手たちが2軍で調整のために出ていたりする。いかにそういう打者を抑えるか」。なかなか感触がつかめなかったカットボールは、鳴尾浜のブルペンで並んだ先輩藤浪の「押し込む感じで投げている」という言葉を参考にした。「ずっと『押し込む感じ』で練習していたら感触をつかんだ。空振りもカウントも取れ、いつでも困った時に投げられます」。183センチ、88キロの本格派右腕。平田2軍監督も「こぢんまりした投手に育てたくない」と期待は大きい。

高校から故郷の三重・尾鷲を離れて聖光学院(福島)に進学。だが歩けないほどの腰の成長痛に悩まされ、結果は残せなかった。卒業後はBC富山に入団。だが腰も癒え、1年で阪神に指名されるまでに急成長した。「すぐに練習ができる環境は、去年から比べると本当に最高。BCの時はグラウンドが取れない日もあったので」。現在は虎風荘で寮生活しながら、充実の野球漬けに感謝の日々だ。

1軍で活躍する同期の近本や木浪に大きな刺激を受ける。一方で冷静に現在地を認識している。「気持ちだけが焦っても何ともならない。しっかり結果を残して。今年中に1軍で投げられるように」。その時に備え、努力を積み重ねる。

◆湯浅京己(ゆあさ・あつき)1999年(平11)7月17日、三重・尾鷲市生まれ。尾鷲小4年から尾鷲野球少年団で野球を始め、尾鷲中では伊勢志摩ボーイズに所属。聖光学院2年の冬に内野手から投手に転向。3年夏の県大会はベンチ入りも、甲子園ではメンバーを外れた。17年BCリーグのドラフト1位で富山入団。15試合で3勝7敗、防御率5・72。18年ドラフト6位で阪神入団。183センチ、88キロ。右投げ右打ち。好きなアーティストは足立佳奈。